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染まる、っていうか染める。
来神時代ちょっと前。シズちゃん中学校時代です。そんな感じの平和島兄弟なお話。
031:染まる
「何色が良い?」
「お前は何色が良いと思う?」
「……赤?」
「そりゃないだろ」
「なら、金は?」
「……そんなとこだろうな、多分」
「じゃあ、金にするね」
ぽい、と箱を買い物かごの中に入れて、何となくそれを見た。
これが、今の兄の姿を少し変えてしまう魔法の箱……と言ってしまうと大げさだろうけれど、大げさなだけでそれほど間違ってはいないと思っている。髪の色を変えるだけ、ではあるけれど、それはつまり髪の色を変えてしまう、ということなのだから。
それだけでどれほど印象が変わってしまうだろう。
ぼんやりとそう思いながら、幽はそれから視線を外した。
……だから、兄の髪を染めると言うその大役を与えられた自分が少し誇らしい。
「兄さん、ついでに夕食の買い物して来てって母さんが言ってたよ」
「ちゃんと買い物リストはもらってきたか?」
「うん。今日はシチューらしいね。……あ、それから」
「ん?」
「余ったお金で好きにデザート買って来て良いって」
その言葉に、少し兄の目がきらめいたのを感じて頬笑みを浮かべる。もっとも、その微笑みに気が付けるのは、この場においては兄のみなのだけれど。
「よし、プリン買いに行くぞ」
「その前に野菜とか見繕わないと」
「……それもそうだな」
そっちの方が大切だよな。
そう言って頭をかく兄を見て、幽は再び笑みを浮かべた。
途中から染まっても染めてもいませんね。っていうか染め系何もしてないや…。
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