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一方その頃な、キャンプ組のお話。最早頑張れとしか言いようがない二人です。
続きものです。前回のお話はこちらから。



058:逢えない時間
 
 
 
「ったく……何で俺たちがこんな目に……」
「予約を全部あちらさんに任せたのが問題だったんじゃない……?」
 元親のぼやきに慶次は苦笑を浮かべた。
 今、二人は辺りを見渡しても民家一つ見当たらない、それどころか車一つ通らない道路の端を歩いている。目的地は歩いた先にあるというキャンプ場……だが、果たしてそんな物が本当に存在しているのだろうかと、疑う気持ちは全く抑えきれない。
 何せ、情報源が情報源だ。素直に信じろと言う方が無茶だろう。
 半兵衛と元就の顔を思いだしながら息を吐いて、それでも歩き続ける理由を見上げる。
「あ、一キロ歩いたら右に曲がるみたいだよ」
 それは、標識、である。
 自分たちを案内するそれらが存在しているのだから、多分、実在はしているのだろう。今の状態がどのようであったとしても、どれだけ遠くても……彼らが言っていた距離よりも遠くても、存在だけはしているはずだ。
 そう思うのは自分だけでは無いらしく、文句を言い続けている元親も、歩く事を止めるとは言いださなかった。
「めんどくせぇな……あとどんくらい歩けってんだ」
「あはは……考えたくないね」
 鬱陶しそうな表情を浮かべた元親に曖昧に笑った所で疑問が浮かび、首を傾げる。
「でもさぁ……実際、今までどのくらい歩いたっけ?」
「距離は知らねぇが、三時間くらいは歩いただろ」
「ってことはあと二時間歩かなきゃって事?」
「アイツらの言う事を素直に信じればな」
 その言葉に、一瞬言葉が詰まる。
 ……それは確かに危惧していたけれども。
「……でも、ここまで来ちゃったんだし、行くしかないんだよね……?」
「だろうよ……流石に今から帰る気にはなれねぇしな」
 確認するように尋ねると、返ってきたのは憂鬱さのこもった肯定だった。







二人で歩いてて、旅館組どころか他人とは全然逢えない時間を送っている二人でした。頑張れ。
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