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拍手再録です。
~3. 王子様はノイローゼ~
「王子様育成ゲーム?なにそれ」
「私も知らん。昨日ララァがどこからともなく持って来たんだ」
「ふぅん……」
どこからともなく、という点が非常に気になるが、ララァが持って来たというのならば怪しげな代物ではないのだろう。
そんな事を思いながら、ガンダムはゲームパッケージを裏返して見た。
主人公らしき人物が泣きながらモンスターから逃げている絵が見えた。
思わず、呻く。
「……どんなゲームなんだよ」
「ララァが言っていたところによるとだな、まずは高所恐怖症の王子に地上二十メートルの高さらから紐無しバンジージャンプを行わせ、幽閉されていた所から脱出させた所から冒険が始まるとかいう話らしい」
「……冒頭からすごいハードじゃん」
ていうか紐なしバンジーて何だ。普通はその時点で脱出云々の話ではなくて生死についての話になっているのではないのか。
初っ端から既に『育成ゲーム』ではないそのゲーム内容に唖然としていると、シャアは、酷く難しげな表情を浮かべて腕を組んだ。
「私もそれは思ったんだがな……見るからに自信満々に『育成ゲーム』とか言われるとな、反論のしようもないぞ?」
「まぁ……その気持ちは分からなくもないけどさ」
「とりあえずレベルアップも育成の内かと、反論せずにどうにか自分を納得させたんだが」
「……多分それが一番賢明な判断だと思う」
反論しようがないと言っていたが、仮にそれを行ってしまっていた場合には、最終的には自分の価値観が変わるくらいの主張が繰り広げられるに決まっているのだ。何せ、相手はあのララァなわけだから。
うんうんと頷いて、改めてゲームパッケージを見下ろす。
「で、これ、どうしたら良いんだよ」
「私の方でも困っていてな、引き取ってくれれば嬉しいんだが」
尋ねてみれば、返ってきたのは予想通りの言葉。
それにニコリと微笑んで、ガンダムは言った。
「要らないから持って帰れ」
(2010/09/27)
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