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恋、って言われるとどうしても新羅とかが浮かんじゃうんですけれどもどうしましょうか。
というわけで、来神時代で来神組です。



042:初恋
 
 
 
 しん、と、静寂だけが耳を打つ頃。
 突然わけのわからない事を言い出したのは闇医者の卵だった。
「ねぇ、折角なんだし何か話してみない?初恋の話とかさ」
「何が折角なのか全然分からなくてごめんね、新羅。で、その提案への俺の回答なんだけど、みんなのじゃなくて君の初恋の話を延々と聞かされる予感しかしないから、少なくとも俺は拒否させてもらうよ。多分他の二人も同じ意見だろうから、仕方ないからシズちゃん相手に二人寂しく会話しててよ」
「オイ待て臨也。テメェ俺も嫌だって分かってんのに押し付ける気か」
「そりゃまぁ、嫌な物は嫌いな相手に、って鉄則じゃない?」
 唸る仇敵にきょとんとした表情を作って答えてやれば、ぶち、と何かが切れる音がした。……相も変わらずキレるのが早い事で。
 呆れながら、けれども臨也はナイフを取り出そうとは思わなかった。自分と静雄と新羅だけだったら、身の安全を守るために武器の二つや三つや四つや五つ、出して応戦しつつ相手を宥める方法を探すけれども。
 でも、今、ここにはもう一人の登場人物が存在するのである。
 そしてそのもう一人は、はぁ、と息を吐いて口を開いた。
「静雄、落ちつけ。夜に騒ぐとご近所に迷惑だ」
 こんな場所でこんな時でこんな状況なのだから、いっそ騒いだ方がいいのではと思ったけれども、もちろんそんなことは口にしない。そうやって口を挟んだら、彼の……門田の言葉を聞いてそれもそうかと納得したらしく黙り込んだ静雄の苛々に、再び火をつけてしまう事になりかねないから。いつもならむしろそうやって彼を挑発して遊ぶけれども、この、撤退先が確保できない状況下においてはそれは自殺行為でしかないだろう。
 ……そう。撤退先が無い。もっとハッキリ言うと、ドアが閉まっている。
 やれやれと肩をすくめながら、臨也は口を開いた。
「まったく、何で夜の学校に閉じ込められる羽目になったのかなぁ」
「君のせいでしょ、臨也。君が睡眠ガスなんてばらまくから」
「ターゲットはシズちゃんだけだったの。教室にもシズちゃんだけしかいなかったでしょ?……なのに君たちが突然来たりするからこうなったんじゃないか」
「教室に押し込んだのは悪いと思うけどさ、そうやって他人のせいにしない方が良いよ?」
 特に気にした風もなくそう言って、改めて新羅は顔に笑みをたたえた。
「で、暇なんだし、話聞いてくれるよね?」
 ……気が付けば、いつの間にか肩に乗せられていた彼の手に、強い力がこもっていた。






とばっちりを受けたドタチンと新羅。ドタチンの方は諦め気味ですが、新羅の方は若干仕返すつもり。というわけで臨也に絡んでいるのでしょう、きっと。決して自分とセルティの話をしたいだけではなくて。
ちなみに、彼らはちゃんと家に「今日は帰れない」と連絡していると思われ。
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