色々100のお題 020．おやすみ

Another Story,略して「あなすと」です。ほの暗いお話です。たまにひょこ、と現れるたぐいのほの暗さ。多分作戦実行前だと思われ。

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020：おやすみ

 

 

 

　次に目を開ける時、世界から争い事が全部なくなっていたら良いのに。

　彼は絶対にそんな事が起こるわけが無いと言わんばかりの表情で、そう口にした。

　そうだね。全部なくなってしまえば良いのにね。

　だから僕はそう答えた。

　俺、全部なくなって欲しいとは言ってないけど。

　すると彼は眉を寄せた。

　本当はそう思ってるんでしょう？

　対して僕はくすりと笑う。

　それが嫌だったのか、彼は酷く傷付いた様な表情を浮かべた。

　思ってない。

　思ってるよ。

　断言するんだ。じゃあ、根拠はどこにあるんだよ。

　僕がそう思ってるって事。

　そんなの根拠にならないだろ。

　根拠になるよ。だって、僕もそう思ってるんだから。

　そう言うと、彼は口を閉ざした。

　途方に暮れた表情を浮かべる彼を見て、苛め過ぎたかなと思いながら優しい笑みを作る。

　冗談だよ。

　冗談？

　冗談に決まってるじゃないか。僕も君も、そんな事を思うワケが無い。

　絶対に？

　絶対に。

　頷けば、彼はとても安心したらしい。ほ、と息を吐いて、目を閉じた。

　絶対なんだよな。なら大丈夫だよな。

　大丈夫だよ。君はそんな事望んでない。だから眠ったって、怖い事は何も見ないよ。

　そっか。

　そうだよ。だから、大丈夫だよ。

　もう一度、言い聞かせるように呟いて、彼の目元に手を添える。

　おやすみ。幸せな夢を。

　けれどもその言葉に答えは無く、返ってきたのは静かな寝息だけだった。

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全部なくなっちゃえば、全部終わっちゃうから全部終わるよ。だから戦争も終わるんだよ無くなるよ、みたいなお話でした。まぁ、つまり極論で曲論ってやつですかね。
とりあえず死神さんと砂岩さんのつもり。つもりです。