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一期のユニオンです。まだ誰もいなくなって無い頃ですね、きっと。
カタギリとグラハムな話。



049:指輪
 
 
 
「カタギリ!頼みがある!」
「……今度は何かな?」
 勢いよくドアを開け放った友人に対して苦笑を浮かべ、カタギリは手に持っていたマグカップを机の上に置いた。
 確か、このあいだはガンダムの装備を作ってくれ、というとんでもなく無茶なお願いをされたのだったか。あの時はどうにか宥めすかして諦めさせることが出来たけれど、さてはて、今回の頼みは一体何だろう。実現不可なものでなければ良いのだけれど。
 そんなこちらの危惧も知らず、グラハムは目をキラキラと輝かせて口を開いた。
「指輪を作って欲しい!」
「……グラハム、ここは軍の研究室だよ?」
「そんな事は知っている」
「知っているなら……僕の言いたい事、分かるよね?」
「さっぱり分からないが」
「そういうのは専門のお店に行って注文してくるのが普通でしょ」
 そう言った後、あれ?と思わず首を傾げる。
 指輪は専門のお店へ。それは別に間違った言葉ではないだろうが、では、そもそもその指輪は誰のための物なのだろう。グラハムがグラハム自身のために買うと言う事は彼の性格上、無さそうだし……ならば誰かに送るのかと、思い至るのはある意味当然であろうが。
 問題はその『誰か』が誰なのか、であり。
 何よりも困るのは何となく、その『誰か』が誰なのかが分かっている事だった。
 はぁ、と息を吐いて、マグカップを手に取る。真面目に聞くのも馬鹿馬鹿しくなってきた。……いや、始めから真剣になんて聞いていたわけでは無いのだけれども。
「良い事教えてあげようか、グラハム」
「ん?何だ?」
「ガンダムの左薬指のサイズなんて、僕は全然知らないからね」
「何だと!?それでは指輪が作れないぞ!?」
 あぁやっぱり指輪を送る相手は人間じゃないのか。
 そんな風に思いながら二度目のため息を吐き、とりあえず手元にあったちょっと分厚い紙の束で、ぱん、と軽くグラハムの頭をはたいておいた。
 ……今日もユニオンは平和である。







好きだの愛してる打の心奪われただの行為を抱くだの抱きしめたいだの、プロポーズするならちゃんと指輪を用意なさい!というお話でした。
しかしこの場合、指輪は四つ用意するのか一つ用意するのか…それとも七つ…はないな。
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