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風邪ネタは使いやすいから、何度も何度も使ってしまうのですが、まぁ、仕方ないですよね。
というわけで、風邪をひいた曹操様のお話。惇さん視点です。しかも続く。
「……曹操」
「何だ」
「……もしかして熱でもあるのか?」
彼に限ってそんな事があるだろうかと思いながら、しかし目の前に存在しているこの光景に他に説明を付ける術を、残念ながら夏候惇は知らなかった。
こちらの言葉に少しだけ首を傾げていた曹操は、自身を一度見下ろすように頭を動かして、それから再び首を傾げた。
「分からん」
「……安心しろ、俺は分かった」
「ほう」
「だからこれだけは言わせてもらう。……何もせずに寝ておけ」
一度自分の様子を見て、それで分からないと冗談でなく言うのなら……彼がこういう冗談を言うかはさておいて……それは間違いなく異常事態である。いくら見た目が普段と変わらないそれであったとしても、そもそも彼が首を傾げている時点で何かがおかしい。
服の裏地と表地が逆さなのにも気付いていないらしい彼を寝台に押しやって、さて、と腕を組む。彼と共にある時間は他の物と比べて随分と長いと自負しているが、しかし、それでも今回の様な事態は初めてだった。曹操が風邪をひくなどという事態、何度もあってたまるものかと思いはするが。
となれば、何らかの原因があったと考えてしかるべきだろう。何の理由も無く、今まで縁が全く無かったものと親しくなれるわけが無い。
そうなってくると、問題はその『原因』になるのだが……ここで考えていたとしても答えは簡単には出ないだろう。すぐ傍にいる当事者に話を訊けばいいのかもしれないが、そんな事よりも早く寝て、とっとと体調を回復して欲しいのであえて問わない。
とりあえずいつもの場所に集まっている自分以外の武将たちや軍師たちに訊き込みでもしようか。そう決めて、扉の方に向かう。
「では、俺は行くが、頼むから外に出ようなどとは思うなよ」
「何が何やら分からんが、了承した。言う通りにしよう。……時に夏候惇」
「どうした?」
「一体いつから分身など出来るようになったのだ」
……その言葉は少なくとも自分に対しては、扉の取っ手に伸ばした手に空を切らせ、そのまま開いていない扉に額を打ち付けさせる程度の威力を持っていた。
そして終始、曹操様は真顔です。真顔なんです。
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