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臨也さん語り。静雄は出てきませんよ。
文明は発達し、遠くにいる相手とも言葉を交わす事が出来る時代となった。今では表情を送るための機器も登場し、最早、直に会う事も必須事項と呼ぶ事は出来なくなってきている。そんな便利な物があるのにわざわざ足を動かして相手の元へ向かうなんて、とてつもない労力の無駄でしかないからだ。実際、外に出る暇さえ無い程多忙な人間は本気でそう思っているのではないだろうか。
そして臨也は、そんな人種では無かったものの、しかし今回ばかりは彼らの意見に同意しようと心の底から思っていた。まったく、電話と言う文明の利器があると言うのに顔を合わせなければならないなんて、面倒過ぎてどうしようもない。
こちらのそんな内心を知った風でも無く、商談相手はぺらぺらぺらと、舌が何枚あるのだろうと思わせるくらいの勢いで言葉を発している。にこやかな笑みを浮かべているが、良い返事を返さない自分の態度に少々苛立ち、焦っているのだろう。だからこんなに、無駄に言葉を重ねようとするのだ。
そんな事、全部全部無駄だと言うのに。そう思って、息を吐く。
始めから、彼らの申し出など受けてやるつもりもなかった。彼らとの繋がりがあったところで価値など無く、彼らと仲良くやる事は自分にとってあまりにも面倒な事だったのである。
乗り気でない自分を、それでも乗せる事が出来る舌を持っている、まるで自分の様な相手がいたとしたら。その場合、恐らく自分は是も非も無く、彼らの申し出を受け入れただろう。そして多分、受け入れた後にその人物を叩き潰したに違いない。一番嫌いなのは人間の皮を被った化け物だが、二番目くらいに嫌いなのは自分と似たような人間だ。
自分と同じような人間なんて、要らない。そんな嫌な奴が一人も二人も三人も存在したら、普通の人々が嫌な気持ちになってしまう。その様を見るのもまた楽しいかもしれないけれど、そうするにはその存在たちに対する不愉快さが強すぎる。
それで何で抹消、なんて事を本当に行っていないかといえば、彼らが二番目に嫌いな存在たちだからなのだろう。一番目の事を思い出すだけで、彼らに対する鬱陶しさが多少はましになる。それ以上の不快感を感じることにはなるけれど。
だが、今、この状況は、正直なところ『駄目』だった。
こんなところで無駄に時間を潰すよりは、仇敵と池袋で戦争ごっこをしている方がまだ建設的だ。自分はナイフを持ち、相手は道路標識を持ち。たまに飛んでくる自動販売機をひょいと避けて、悔しそうな顔をする相手に楽しげに笑いかけてやる。
あぁ、やっぱりそちらの方が良い。
駄目過ぎるこの空間なんかより、そちらの方が断然好みだ。
何気に追いかけっこが気に入ってるらしい臨也さんの話……のつもりです。
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