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政宗さんのところに、何でお前が来るんだと言われそうな人が訪れたようです。
「……で、何でテメェがここにいんだ」
「いえ、偶然立ち寄ったものですから」
「テメェのterritoryとこことじゃあ、随分な距離があったと思ったが?」
「気のせいでは無いですか?」
偶然立ち寄れる場所じゃないだろうと言ってやると、考えの読めない笑顔を浮かべて彼……明智光秀は美味しそうに茶をすすった。
その様を忌々しく思いながらも眺め、あの湯呑の中に毒でも入れてやればよかったと後悔する。まぁ、彼相手に毒が効くかが何となく不安なのだけども……動きを鈍らせるくらいの効力はあるだろう、きっと。
もしも『今度』があったら本当に実行しようと心に決めながら、じぃ、光秀の方を見る。
「で、実際何用だ」
「ですから、偶然立ち寄っただけですよ」
「信じれると思うかい?」
「信じるも何も、それが本当なのだから仕方ないでしょう。……信じてくれないのですか?悲しいですね」
「勝手に悲しんでろ」
嘘だか本当だか分からない彼の言葉に眉間の皺をほぐしながら、コイツを今すぐ切っちゃってもいいだろうかと腰に差していた刀にそろりと手を伸ばす。
指の先が柄に届いた、その瞬間。
今までも笑っていた光秀がさらに笑みを深くして、いきなり立ち上がった。
突然の事に驚き手を刀から離す自分を満足げに見て、彼はくるりと体の向きを変えた。
「で命の危険を感じたので私は帰ります。今は得物がありませんし時期ではありませんから、貴方と一戦交えるつもりは無いのです」
「な……」
「では、貴方の右目にもよろしくお伝えくださいね」
さようなら、と。
最後にそう言って、彼は本当に行ってしまった。
馬に負けず劣らずの速度で走り去っていくその背を唖然と眺めながら、政宗はぽつりと呟いた。
「……アイツ、本当に何しに来たんだ」
ただ遊びに来ただけだと思うよ。
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