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あの髪が短くなることってあるんだろうか、なんて思ってみたり。ヴァリアーのお話です。
「困ったわねぇ、完全に絡まっちゃってるわ、これ」
「ルッス、ほどけないの?」
「さぁ……どうかしら。時間をかければ出来るかもしれないけれど、断言はしかねるわ」
「……マジ?」
「最終手段は髪を切る事だけれど……どうする?」
「……」
マーモンとベルフェゴールの質問に答えてから、尋ねるようにこちらを見たルッスーリアに、残念ながらスクアーロは何も答える事が出来なかった。ただ、右手で顔を覆って無言を貫くだけである。そんな中、隣に座るザンザスが呆れたような表情を浮かべて腕を組んでいるのが、指の隙間からちらりと見えた。
……事の起こりは数時間前に遡る。
ボンゴレ十代目に呼び出されてボンゴレ本部に向かったザンザスと、あまり必要無い気もするが、一応護衛のためにとついて行った自分。
意外と交通状態が良かったために予定よりも早めに目的地へ辿りついてしまった自分たちは、約束の時間まで適当に本部内で暇をつぶそうと言う事になったのである。
けれども、多分、それが間違いだったのだろう。始めから本部に行く事は乗り気じゃ無かったのだし、政務中の綱吉の所に殴り込んででも用事を済ませてしまえば良かったのだ。もしもそうしていたらきっと、自分たちがいた部屋に乗り込んできた十年前の雷の守護者に襲撃される事など無かっただろうから。
まぁ……つまりはそういう事で。
まさか未来の守護者……というか現在の守護者の幼少期をどうにかしてしまうわけにもいかず。そもそも、どうにかするには突然の事過ぎて、あまりにも警戒に足らな過ぎた襲撃であったせいで、反応が遅れたこともあって。
気が付けば、自分の髪の毛は十年前のランボの玩具にされていたのである。
……不覚としか言いようが無い。
そして、けれど、それだけで済めば良かったのだ。
だが、現実ではそうならなかった。大騒ぎになったのである。
自分より先に我に返ったザンザスが何故か愛銃を二丁とも取り出して幼い守護者にその銃口を向けたり、丁度そのタイミングで部屋に入ってきた綱吉がばったりと状況に出くわしてしまったり、その数秒後、綱吉の隣にいた嵐の守護者がダイナマイトを取り出すし、もう一人傍にいた山本は驚いているだけで使い物にならないし、結局、引金にかかっていた人差し指は引かれるし、ランボごと自分まで銃弾の餌食になりかかるし。
そんなとんでもない事態を鎮静するのに自分がかけた時間が一時間程度だったというのは、もしかしたら素晴らしい記録なのかもしれない。
が、そんな記録も現状に関してはなんの力も持たないのだった。
「いや、っていうか髪切るとか無しじゃね?」
まだ何も言いたくない自分に代わる様に、ベルフェゴールが不満そうに声を上げた。
「髪が短いスクって、もう既にスクじゃないと思うんだけど。それって単なる幼鮫だろ」
「幼鮫って……あぁ、そういえば昔は髪が短かったよね。……うん、でも、僕もベルと同意見だよ。スクアーロの紙が今更短くなるなんて、想像するだけで奇妙な感じだし」
「それは私だって同じよ?でも、それ以外に手段が無くなったら、それを実行するしか無いじゃないの」
「そんなの知んねーもん。絡まったままどうしようもないならさ、そのままで放置しとけば?切るよりは遥かにマシだろ」
「見た目を考慮するなら、切った方がましだと思うけれど」
「だから言ってんじゃん、知んねーって。……ねぇ、ボスはどう思ってる?」
と、マーモンと一緒にルッスーリアに髪を切るなと言い続けていたベルフェゴールが、いきなり話の矛先をザンザスに向けた。
思わず顔を覆っていた手を除けて、スクアーロは己の主の方を見た。何と言おうと言われようと、自分の答えはもう、はっきりと心の中に存在しているわけだが……彼が何というのかは、確かに興味がある。
しばしどうでも良さげに口を閉ざしていたザンザスだったが、四人分の視線を煩わしく思ったのか、眉を寄せながら静かに口を開いた。
「どうでもいい」
そしてまた閉じた。
……。
「ってそれだけ……?……それだけなのかぁ!?短すぎんだろ!?」
「……煩ぇな、耳元で叫ぶな」
思わず守っていた沈黙を破り捨てて大声を上げると、彼は鬱陶しげに表情を歪めた。歪めて、そのままもう一度口を開いた。
「何を言っても結果は変わらねぇだろうが」
「……は?」
それは一体どういうことだと首を傾げると、微妙に曲がった首めがけて手刀が飛んできた。もちろん加減なし。
「っが!?」
「首傾げてんじゃねぇよ。テメェで考えろ」
「ボス、ボス、考えろって言って、そんなことしてたら脳みそに酸素行かなくなるよ」
「っていうか普通死ぬんじゃね?」
「頭を直接じゃ無いだけ、まだ良心的なのかしらねぇ……」
そんな勝手な彼らの声を聞きながら、本当に何なのだとスクアーロは思った。
どうせ髪は切らないんだろーが、みたいなボスさんと、何を言われても多分髪を切らないだろうスクと、髪切るの反対な幹部の皆様の話でした。多分。
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