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浮かんだままを書いてみましたらこんな感じに。似たような話ばっか・・・。
臨也と静雄のお話。ちなみに誰も死なないよ。
背の高いビルの屋上から見下ろす街の姿は、とても明るく輝いていた。
夜を蹂躙するかのように、闇を殺戮しつくそうとせんばかりに。瞳に突き刺さりそうな程にまぶしい光はどこまでも己を示し、人々を照らしている。そして、こんな寂れた廃ビルにまでその威光が届く程には、どうやら光は権力を持っているらしい。
そんな権力者に反抗するかのような黒色が、目の前にいた。
それは、人だった。しかも、とびっきりの下種だった。
思わず、殺してしまいたくなるくらいに、最悪な男。
「ねぇ、シズちゃん」
光に背を向け、折原臨也が笑う。
その喉にナイフの切っ先が向けて、屋上の縁の縁に立って、酷く穏やかに笑う。
自分はそれを、黙って見ていた。
黙って、静かに、次の言葉を待つ。
殺意はある。敵意もある。けれども不思議と、彼の言葉を遮ろうとは思わなかった。おかしい事ではあるけれど。それでも、何も言わずに彼の言葉を待った。
しばしの沈黙が、自分と彼の間に流れる。
いくら待っての自分が応と答えない事が分かったのだろう、やれやれと肩を竦めながら彼は話を進めた。
酷くあっさりと、世間話をするかのように。
「俺、死んでも良いと思う?」
その言葉に、思わず眉を寄せる。よりにもよってそれを自分に訊くのか、この害虫は。そんな問いを投げかけられたら自分がどんな答えを返すかくらい、聞くまでもなく明確に分かっているだろうに。それでも訊いてくるというのだろうか。
機嫌を若干傾けて、静雄は彼に背を向けた。
それから、唸るように言う。
「俺に訊くな、ンな事」
「だって、シズちゃんなら是も非もなく、よし死ね、って言ってくれると思ったから」
どこか残念そうな彼の言葉に目を閉じて、口を歪めた。
「期待が外れたか?」
「そんなとこ」
「そうかよ。そりゃ良かった」
返された肯定に笑みを浮かべ。
一歩、足を前へ進めながら呟く。
「死にたいなら勝手に死ねよ」
そう言わると同時に、笑う気配を感じたけれど。
彼の方をまた見ようとは思えなかった。
でも臨也は死なないよ。飛び降りないよ。
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