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デュラ九巻読みました。
そして読んだ結果がこれ。罪歌と春奈ともう一人のお話です。
臨也と静雄の話はまた後日にでもあげたいな・・。



「はじめまして、お母様!」
 と。
 初対面に相手にそんな事を言われて、果たして自分はどんな顔をすればいいのだろう。
 赤い目を細めて満面の笑みを浮かべる少女の後ろ、穏やかに微笑んでいる春奈に視線を向けて、罪歌は静かに尋ねかけた。
「春奈、この子は?」
「その子は『罪歌』ですよ、母さん」
「それは見たらわかるわ」
 たとえ少女の目が赤く無かったとしても。刃物を身に纏っていなかったとしても。自分の事を母親と呼ぶことが無かったとしても。きっと、自分は彼女が『罪歌』である事に気付いただろう。何せ、自分こそが『罪歌』なのだ。他の物を他の物と見間違える事があったとしても、それだけは絶対に間違えない自信がある。
 故に、春奈が自分に返した言葉は、自分にとっては今更過ぎる程今更な、確認の必要さえ無い確定事項でしかなかった。
 腕を組み『子』を見、改めて訊く。
「この子は、何なのかしら?」
 春奈そっくりの容姿の、赤い瞳の身に覚えのない『子供』。
「人間じゃ、ないでしょう?」
「……流石、母さん。やっぱり分かるんですか」
「分からないワケが無いでしょう?私を誰だと思っているの」
 妖刀・罪歌、よ。
 そう続け、未だ笑顔のままの少女の方へと視線を戻す。
 正直に言うと、彼女がなんであるかは既に想像できているし、漠然とした確信もある。が、何分、滅多にない事なので、あまり断言しようとは思えない。
 故に、確証が欲しい。事情を全て知っているらしい春奈からの情報開示が欲しいのだ。
「……で、答えは?」
 春奈の方を見ずに返答を促すと、彼女は少し惑う様な気配を纏った後、ぽつりと言葉を零した。
「……その子は……私の中の『罪歌』なんです」
 その言葉に、一度目を閉じる。
 そして、目を開けば、やはり目の前には少女がいた。
 太陽の様に笑う少女を眺め、やはり、そうなのかと。思いながら、話を続けさせるべく、言葉に質問の態を取らせて口の外に放り出す。
「貴方の中の?」
「はい。二回も母さんに、その……反抗してしまったからなのか、私の中の『罪歌』が少し変わってしまって。気が付いたらこんな風に」
「そう……まぁ、どうやらそれでも私の『子』であるようだし、私たちの在り方が変わったという事では無い様だけれど。……それで、この子を私の所へ連れてきたのは?」
「報告と、あと、お願いです」
「お願い?」
 思いもよらなかった言葉に、眉を寄せる。
 わざわざ自分の所へ訪れてきた『子』からの願いだ、出来るのならば聞いてやっても良いかもしれないけれども、おそらくその願いの内容はこの少女……いや、自分の新しい『子』に関する物だろう。となれば、何でも聞いてやるという事は出来ないかもしれない。
 何せ、この『子』は自分にとってもイレギュラーな存在で。他の『子』と扱いを別にする気は今のところないけれども、場合によっては区別をする必要が出てくる可能性だってあるのだ。安請け合いは少々難しいのである。
 まぁ、出来るところまでは叶えてやらないでもない。
 そのくらいの親心はあると、肩を竦めながら口を開く。
「……言ってみなさい」
「実は……あの、この子の名前を付けて欲しいんです」
「…………え?」
 そうして聞こえてきたのは、少しばかり予想外な言葉。
 少し呆けた声を出し、唖然としながら春奈の方を見ると、彼女は酷く真剣そうな面持ちでこちらを見ていた。つまり、今の言葉は真面目な言葉である、ということなのだろう。
 しかし、それでも少し納得出来ず、もう一度訊き返す。
「……名前?」
「名前です」
「何で私が?……というか、いるのかしら?」
 まさか、そんな事を言われるとは思っていなかった。
 若干混乱している頭のまま、思いついた質問を思いついたままに春奈にぶつけると、彼女はきょとんとした表情を浮かべて、だって、と言った。
「母さんは、母さんじゃないですか。なら、名前の無い『子』に名前を付けるのは母さんの役目だと思って」
「……あぁ、そういう事」
 成程。納得した。
 混乱も解け納得もして。
 罪歌は、わくわくとした表情を浮かべている少女の頭に手を乗せた。
 それから、数秒ほど考えて。
「……咎音、とか、かしら」
「とがね?」
「罪の子供は咎かと思って。駄目かしらね……」
 女の子の名前なのだから、もうちょっと可愛い者の方がいいのかもしれない。
 うぅむ、と悩んでいると、不意に少女の頭にのせていた手が握られた。
 何?とそちらに意識を向けると、そこにあったのは相変わらずの少女の笑顔。……しかも、さっきよりも明るい感じの笑顔である。
 あぁ、この『子』に手を掴まれたのか。
 そんな風に状況を把握していた罪歌に、少女は笑顔のまま口を開いた。
「ありがとう、お母様!咎音はね、とっても嬉しいよ!」
「あら……その名前が気に入ったの?」
「うん!」
 勢いよく頭をブンブンと振る『子』から春奈に視線を移して、罪歌は困った表情を浮かべて見せた。
「……春奈、こんな名前で良いかしら」
「大丈夫です。母さんの付けてくれた名前なら何でも歓迎ですよ」
「何でも?……じゃあ、女の子に『太郎』とか付けても歓迎なの?」
「いえ……それはちょっと」
「冗談よ」
 本気で遠慮したがっている様な彼女の表情に苦笑して、少女……否、咎音に、種類を変えた笑顔を向ける。
 きょと、とこちらを見てくる『子』に愛おしさを感じつつ、言う。
「これからよろしくね、咎音」








九巻読んで、最初に浮かんだ話がこれだったよ。
いや、もう春奈さんの「罪歌」はそんな感じでよくない?みたいなノリで。
もしかしたら私、罪歌ファミリーを作りたいのかもしれない。

罪歌がお母さんで、春奈さんが長女で、咎音が末っ子で。その他いっぱい姉妹がいる感じ。
杏里は罪歌のお友達というか、相方。
そんな感じの罪歌ファミリー。……ダメだろうか。
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