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お正月シリーズ第六段・宿題。
……最早お正月ではなく単なる冬休み。
そんな感じで白辺なW組です。
炬燵机の上には、色々な物が乱雑に置かれていた。
それは例えば菓子の包みだったり、菓子そのものであったり、飲み物の入ったコップだったり、ペットボトルに入ったジュースだったり……シャーペンだったり、消しゴムだったり、ノートだったり、教科書だったり、問題集と言う名の宿題だったりした。
勉強道具さえなければ小さなパーティみたいな状況なのにと思いながら、持っていたシャーペンをくるりと一回だけ回して、サンドロックは改めて目の前に広げられている問題集と教科書に視線をやった。……これらがあるせいで、パーティもどきにもなりはしないのだと思うと、ほんの少しだけ憎たらしさを覚えることもできそうな気がする。
けれども結局、全ては自分自身のせいでしかない。ジュースや菓子と共に勉強道具が存在していることも、実は時間に追われていることも、何もかも自分のせいなのだ。
そう思うと結局、浮かべる事が出来る表情は苦笑しかないのだから困ったものである。
「それにしても、」
自分と同じく勉強道具を広げ、時間に追われている身であるデスサイズが、持っていた筆記具を机に置いてから頬杖をついた。
「……これ、本当に今日中に終わるのかねぇ…?」
宿題の海を睥睨しながらの言葉に、表情を変えずに肩を竦めて答える。
「普通にやっていればどうにかなると思うよ。一応、ボクもデスサイズも、ヘビーアームズも、手つかずってわけじゃないんだし」
そう。宿題は真っ白なわけではなかった。
年末は大掃除に手間取って宿題をする時間を取ることが出来ず、年明けは年明け特有の穏やかな雰囲気に流されて宿題をやろうという気が起こらなかったために、冬休みに入ってから随分と放置されていた宿題ではある。が、だからといって一ページも時進めていないというわけではない。
自分はだいたい半分くらいは終わっているし、二人だって同じくらいは進んでいるらしい。となれば。恐らく、普通に真面目にきちんとやれば今日中に宿題は片付くだろう。
だから問題ないんじゃないかと首を傾げて見せると、違う違うと軽く手を振られた。
「オレたちじゃなくてナタクの宿題の事」
「……あぁ、そっち?」
「そう。こっち」
「……そう、だね」
若干頬を引きつらせ、視線を逸らしながら応じる。
「終わるんじゃ……ないかな?ボクらも協力すれば、あるいはもしかしたらきっと多分」
『つまり殆ど終わる可能性は無いと』
「……」
さらりと示されたヘビーアームズのツッコミに、何とも言えない表情を浮かべたのは、話題に挙げられている当の本人だった。
ナタクも分かってはいるのだろう。
冬休み最終日に、全く手を付けていなかった宿題を完全に終わらせることが、どれほどの困難かと言う事を。
……いやはや本当に、どうして一ページもやっていなかったのだろうか、彼。
若干諦め気味の表情を浮かべながら、それでも終わらせようと努力しているその様にはある意味拍手を送りたいけれども。終わらせるべき物だという認識があるならば、せめてギリギリの今日では無くて昨日とかにでも思い出せばよかったと思うのだが……その辺りの事は言い出したらキリが無いので、敢えてツッコミを入れ続けない事にしておこうか。
肩を回しながら、ぼやく様に呟く。
「やっぱり大掃除が原因かなぁ……手間取ったよね。宿題する暇がなかったくらい」
「正月の特番ラッシュも原因だろ。あと、大掃除は手間だけでなく、ここが大きすぎるのも原因。掃除しないといけない場所が多すぎるんだよ」
「ボクからすると、まだ少し小さいんだけどね、この家」
実家はこの二、三倍の大きさがまず間違いなくあるのだから。
呆れ気味のデスサイズに笑いながら答えると、ヘビーアームズが首を振った。
『そう思うのはサンドロックだけ』
「同感だな。……ところで、ここはどうやって解くんだ」
『ちょっと待って。解き方を一から百まで書いて見せるから』
「流石に百までは要らないんじゃないかな……」
「いや、十じゃ足んないだろ」
「……そうでもないと思うんだけど」
彼のテストの点数の低さは把握しているけれど、だからといって一から百までは教えなくても大丈夫なのではないだろうか。五十ぐらいまでで十分だと思うのだけれども。
そんな事を思いながら、そういえば、と、この部屋にはいないあと一人を思い浮かべて首を傾げる。
「ウイングがいないけれど……宿題大丈夫なのかな、彼」
「大丈夫っていうか、アイツもう終わってるし」
「え、そうなんだ?」
「そ。だから部屋で寝てる。冬休み最終日は一日中ごろごろするんだと」
「ふぅん……羨ましいね」
「だよなぁ……いつの間に終わってたんだか」
この後ウイングは起こされ宿題の手伝いに駆り出されたり。
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