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忘却の海……忘却か、忘却……なんか忘れてればいいかな。
なーんて、毎度のごとくの無理矢理こじつけでございます。海とか全然関係ない。
初代とGとデイモンさん。あと、名前だけ、あの女のひと。



14:忘却の海    (Re:シークレット)
 
 
「……何か忘れている様な気がします」
「は?」
 唐突な言葉に、思わず眉を寄せた。
 どういうことだと視線を向けるも、応じる声は全く無い。デイモンは椅子に背を預けきり、腕を組み、眉間にしわを寄せ、ただひたすらに何事かを思い出そうとしている。
 本当に何事なのだ。
 そう思いつつ、何か知らないか、とジョットに声をかけようとして、Gは半眼になった。
 幼馴染は、溜まりに溜まった書類を片付けるために机に向かっていたはずだった。なのに、今。何故か彼は、どうでも良さそうな白い紙に落書きばかりしていたのである。
 素早くジョットの手から筆記具を奪い取り、見下ろしながら問いかける。
「お前、デイモンが何忘れてるか分かるか?」
「……」
 ジョットは少ししょげた表情を浮かべながら頬杖をつき、頷いた。
「……………………分かるぞ」
「本当ですか!?」
 その一言に喰いついたのは、当然の事ではあるが、何を忘れているのか分かっていなかったデイモンである。
 勢いよくジョットの方を振り向いた彼へと一瞥をやり、初代ボンゴレは口を開いた。
「今日はエレナの誕生日だ」
「…………………………………あ」
 その言葉に、彼は完全に石化した。
 口を開けたまま表情を変えることもしない……否、衝撃の余り出来ないのであろうデイモンに、ジョットは続けて言葉を紡いだ。
「最近少したてこんでいたからな、流石のお前も少し忘れていたんだろう。エレナもその辺りは分かっていると思うから、とっとと何か買って行ってやったらどうだ」
「……っそうですね、では失礼します!」
 一気に石化を解いたデイモンは、そう言うや否や、あっという間に部屋から走り去り、姿を消した。あの調子で駆け続ければ、五分後にはエレナの所へ辿りついているだろう。
 開け放たれたままの扉を眺めながらそんな事を思っていると、ちょんちょんと手をつつかれた。言わずもがな、犯人はジョットである。
 何だ? と視線で促すと、彼は両手を差し出した。
「なぁ、G、そろそろペンを返してくれ。落書きの続きが書きたい」
「断る」






初代組は今日も平和なのです。
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