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  逃亡者だという二人を空いている部屋に押し込めたハレルヤを、ソーマは不思議な重いと共に見ていた。彼のことは酷く嫌いだが、理由もなくそんなことをするほど愚かではないとは認めている。別に、そこを評価しているわけでもないが。

 だからこそ、この行動を不可解なものと捕らえざるを得なかった。理由も何も、見あたらないのだから仕方がない。
 自分には分からないでだけで、彼には十分すぎるほどの理由があるのだろうが……

 と、ふいに、廊下にいたソーマとハレルヤの前に、一つの裂け目ができあがった。
 そこから現れたのは、女とも見間違える容貌の持ち主と、ボロボロの黒いロングコートを着ている長髪の少年。

「……君たち二人が並んでいるのは、とても珍しいと思うのは俺だけか?……まさかとは思うが、お前達まで仲良くなったということは……」
「あるかッ!成り行きだっつーのっ!誰がこんなのと仲良くなるかよッ!」
「その通りです、ティエリア。不本意ですが、私もハレルヤと同意見です。そんなおぞましいこと……」

 何という勘違いだろう。そんなことが本当に起こってしまったら……想像するだけで鳥肌が立つ。有り得ないし、あったとしたら次の日には天変地異が起こるに違いない。

 にしても……この屋敷の主はおいておくとして、どうして彼もここに来るのだろう。戻らなくて、良いのだろうか?ティエリアを送るためだけに裂け目を作ったとは思えなから、用事か何かがあるのだろうが。

「お前……どうして、こっちに来るんだよ」
「これ、埋めないとって思って」

 ハレルヤの問いに答え、透明な結晶を抱えている彼は、そのまま歩き出した。若干、急いでいるように見えるのは気のせいではないだろう。やはり、早く戻ろうとは思っているらしい。
 遠ざかろうとする背中を追うと、彼はちらりと視線を向けた。

「眠ってたら?」
「睡眠なら充分取りました。もう眠気はありません」

 答えながら、素速く後ろの男二人組を睨む。軽くだけれど、これくらいでいいだろう。ついてくるなという牽制だから。折角二人きりになれそうなのだし……いくらハレルヤとティエリアといえど、邪魔はさせない。

 睨みのせいだろうか?足を止めてしまった二人を見て、薄く笑う。
 これで、追い掛けるのは難しいはず。タイミングを逃してしまったのだから。

「どうかした?」
「何でもありません。さ、行きましょう」

 首をかしげる彼の背を少し押して、ソーマは前へと足を進めた。
 ちゃんと、ハレルヤにフフン、という笑いを残してから。

 

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