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争奪戦?
アレルヤが下に降りることになった。
丁度、刹那もロックオンも上に上がっているこの時に。
従って、彼が下に降りると一人っきりになってしまう。
いや、彼にはハレルヤがいるから…………二人っきり?
そう思った瞬間、ティエリアは口を開いていた。
「俺も降りる」
「え?」
驚いたように振り返ったのはアレルヤだけで、今後の予定を彼に伝えていたスメラギは、こちらを見て苦笑していた。すべてお見通し、ということだろうか。
気に入らなかったが、今はそれどころではない。
なんとしてもアレルヤとハレルヤが二人っきりになるのを防がなければ。
……もちろん夜だとか、彼が一人でいる時間が無いわけではないのだが、しかし、やはりできるだけそのような時間を減らしたいと思うのだ。
とりあえず、ここに残り二人のマイスターがいなくて、本当に良かった。同じような展開になって、一緒に降りる者をジャンケンで決めることになり、勝ったロックオンとアレルヤを見送ったことは記憶に新しい。
「でも、君は地上は嫌いじゃなかったかい?」
「たまには降りたくなることもある」
恐る恐るといったふうに訊いてくるアレルヤに(半分本当半分嘘で)答え、スメラギの方を向く。
「いいですか?」
「いいわよ……と言いたいところだけど、あの二人をなんとかしてからじゃないと、無理よねぇ」
「あの、二人……?」
嫌な予感が、背筋を駆け上る。
ばっと扉の方をむいた瞬間、タイミングを計っていたかのように、それが開いた。
「ティエリア・アーデ!」
「何一人で抜け駆けしようとしてんだ!」
駆け込んできたのはあの二人。
「なっ……どうしてここに!?」
「………俺たちの第六感をなめないでもらおう」
つまり、ティエリアの行動をカンで察知し、ここまで走ってきたというのか?
バカな、と思う反面、彼らなら有り得るかもしれないとも思う。同じ穴のムジナだから、何となく分かる。
だが、それはともかく……
(この状況は……)
以前と同じだ。
こうなってはしかたがない。いつものやり方で決めるしかないだろう。
意を決して右手を出す。
すると彼らも察したようで、こちらに歩いてきて右手をそれぞれ出した。
「……いくぞ」
「俺は、負けない」
「せーのっ!ジャーンケーン…ポンッ!」
アレルヤが状況に置いてけぼりにされながらも見守る中、ロックオンの号令とともに手が出される。
グー、グー、グー、であいこ。
「ちっ、あいこかよ」
「あいこ……」
「次行くぞ次!」
ティエリアは焦っていた。
前もこういうパターンだった。二十回あいこで、二十一回目でロックオンが勝ったのだ。
早々に決着をつけないと。でないとまた、彼が勝ちそうな気がする。
しかし、ティエリアの思いとは逆に、あいこは続いた。
執念とは恐ろしいものである。
そして四十回目(記録更新。最高は三十五回)
「ぽいっ……あー」
ロックオン・刹那はチョキ、ティエリアはグーを出していた。
ティエリアの勝利である。
「当然の結果だな」
そう余裕を見せるものの、内心は冷や汗ものだった。
接戦だった……負けてもおかしくないくらい。
「じゃ、今回のお供はティエリアね?」
今まで黙っていたスメラギが笑う。
「アレルヤ、いいかしら?」
「あ、はい。僕はかまいませんが……」
ちらり、と彼が視線を向けた先には敗北者が二人。部屋の隅で体育座りで、顔の向きは壁の方向、そしてどんより暗くてジメジメとしたオーラを振りまいている。
典型的な「いじけ」の形だ。
「気にすることはないだろう」
ティエリアはそう言い、アレルヤの手首を掴んだ。
見ていたらうっとうしい。そのくらいは思うが、同情はしない。これは戦いの結果。勝者がいれば敗者がいる。当たり前のことだ。
だがアレルヤは優しいので気にしてしまうのだろう。
それならば、見えないところまで行けばいい。そうしたら、気にすることもない。
「彼らは負けた。それだけだ」
手を引いて、通路に出る。
ようやくうっとうしいモノを視界から消せた。
「ティエリアは厳しいね」
「君が気にかけすぎなだけだ」
答えながら、きっと自分は微笑んでいるのだろうな、と思った。
なぜならとても良い気分だったし、何より彼がとても嬉しそうな顔をしていたから。
「行くぞ」
最初の目的が曖昧になっていて、というかむしろ消えているきがしなくもないが、まぁ、共に行くことができるのならいい、のかもしれない。
Fin
「二人とも」
ティエリアとアレルヤが部屋を出て行った時を見計らって、スメラギは角っこの二人の肩を叩いた。
のろのろと振り向いた二人にくすりと笑いかけて言う。
「実はね、しばらくミッションはお休みなの。あなたたちも行っていいわよ。地上に」
Fin?
私のお友達の舞夜さん、よかったらもらってくださいね。
他の人はダメですよ。