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茶色のお題も久しい気がするなぁ…。
そんな感じの途美学園。



08.クラクション



 事の始まりは昼休み、いつものように某生徒会長と某バカといがみ合っていた時の、片割れのとある一言だったと言えよう。
 どうしてだか自分たちのクラスに現れた生徒会長を邪険に扱いながら、理由もなくハレルヤとアレルヤの二人の昼食に割って入ってきたバカを駆除しようとしていたところで、クスクスと笑いながら片割れは言った。
 三人とも仲が良いね、と。
 それを聞いて、ハレルヤは心の底から違うと叫びたかった。叫ぶだけでは足りなかったかもしれないが、とにかくそれは間違いなのだとハッキリと伝えたかった。
 しかし物事は上手くいかないものである。その時、丁度良い(悪い)タイミングで片割れを呼び出すアナウンスが流れたのだ。
 慌てて出て行ってしまったアレルヤの背を見ながら、タイミングを読んだとしか思えない学園所有者からの呼び出しを、ハレルヤは酷く恨めしく思った。
 そして、放課後。
「ったく……アレルヤに誤解されっぱなしたぁ、嬉しくねぇ事態だな」
「同感だ。彼のことだから『ケンカするほど中が良い』という迷信を信じているのだろうが……あれは幻想だ。実際は有り得ない」
「信じてるとこが、らしいっちゃらしいけどよ」
 玄関前に、三人はいた。
 何という偶然かは知らないが、今日は三人が三人とも違う理由で外出をすることになっていた。だからといって三人揃って正門から出ることもないのだが、それを理由に一人だけ裏門などから出るのは気に入らない。自分の行動が彼らのせいで曲げられるのは、気にくわないどころの問題ではないのだ。
 険悪なムードを醸し出しながら、ハレルヤたち三人は並んで歩いていく。
 並んでいるのも勿論、仲が良いからではない。近くにいた方が相手を攻撃する事が楽になるからだ。現に今、さりげなくミハエルがティエリアに蹴られた。
 正門を出てからは、それぞれが違う方向へ行く。
 勝負は、おそらく出る間際だろう。
 それまでに力を蓄えておこうと、やや二人から離れた場所で機を窺っていると、後ろから、危険を感じた。
 振り返ってみれば、そこには突っ込んでくる車の姿。
「なっ!?」
「どうしたハレルヤ・ハプティ……っ」
 自分の行動を不審に思ったらしいティエリアも振り向き、一瞬の間ほど固まったようだった。が、我に返ってからの行動は速かった。
 ハレルヤとティエリアは素速く真横に飛び、それから。
 何も分かっていなかったらしい真ん中のミハエルは、そのまま車にはねられた。
 ……まぁ、分かっていたとしても、ミハエルだけは真ん中に押し戻して犠牲になってもらうつもりだったが。多分ティエリアも同じ事を考えていただろうから、結局の所彼が唯一の被害者となることは変わらない。
 とまぁ、それはともかく。
 それほどスピードの出ていなかった車である。お陰でミハエルは軽く吹っ飛んだだけで大事には至らなかったらしい。さすがは丈夫さだけが取り柄なバカだけはある……少し残念な結果だが。
「…どーせなら腕の骨の一本くらい折ってみろってんだよ」
「聞こえてんぜ……テメェ、後でコロスかんな…」
「出来るモンならどうぞ。どうせ返り討ちだろーがな」
 地面に倒れているミハエルの頭を踏みつけながら笑い、ちらりと車の方を見る。
 さて、乗っているのは誰なのやら。一応……自分たちがいるのは見えていたはずだが。
 ハレルヤとティエリアが見る中、車からクラクションの音が響いて止まり、操縦席側のドアが開いて……出てきたのは、黒スーツを着た女性だった。しかも、凄く見覚えのある。
 学園所有者ことヴェーダは腕を組んで車に寄りかかり、呆れたように嘆息した。
「もう……そんなところでどつき合ってたら、危ないわよ?」
「危ねぇのはテメェの思考だ!俺らも轢く気だったろテメェ!」
「あらあら、ちゃんと致命傷にならないスピードだったハズだけど?」
「轢くことが前提ですか貴方は……」
「大丈夫、ちゃんと警告としてクラクションを鳴らしたし」
「轢いた後にな!意味ねぇだろ!?」
 むしろ呆れたいのはこちらだ……思いながら、ハレルヤは大切なことに気付く。
「オイ……アレルヤはどうした?テメェに呼ばれてから帰ってきてねぇんだけど」
「帰ってもらったわよ?今頃、寮にいると思うけど」
「ふぅん……ま、嘘じゃねぇだろ」
 言う理由がないし。
 思いながら、ハレルヤはミハエルを踏みつけてから正門の方へ向かった。
 部屋に帰っているのなら、こちらの用事を済ませて早く帰ろう。それから昼休みのあの言葉を撤回してもらって、後はいつも通りだ。
 そういう思考のために早足になりながらも、ハレルヤは背後に注意を配っていた。
 来る可能性が無くはない、少し遅めのクラクションに対して。




ヴェーダの無茶は日常茶飯事。
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