[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
タイトル通りでなく、回っていませんが。そんな感じです。
回れと言えば何なんだろう…今だったら時計とか浮かぶけど。
考えてみたその時…浮かんだのがお代官様ごっこってどうなんでしょう…。
03.回れ回れ
「……何やってるんですか?」
食堂に入って一番に見えた光景に、思わずアレルヤは口を開いて尋ねていた。見たとおりの光景なのだ、とは分かっていたが。
案の定、スメラギはウインクを一つ寄こして言った。
「『お代官様ごっこ』よ。見たら分かるでしょ?」
「分かったから言ってるんですけど……」
「そう?」
答える間もスメラギの手は止まらない。ミレイナの来ている着物の帯を引っ張って、どんどんと解いていく。付け加えると……脱がされる役のミレイナは、凄く楽しそうな表情でクルクルと回っている。
どこかの時代劇そのままの光景を眺めながら、フェルトは逃げたんだろうなと、机の上にある三つのコップを見て思う。賢明な判断だ。
そう思って苦笑していると、ふいに、に対の瞳がこちらを見ていることに気付く。
ただならぬ気配を感じながら、一歩後ずさる。ここにいたら……危険だ。
「ねぇ、アレルヤ」
スメラギがニヤリと笑った。ミレイナも、同様に。
「貴方も着物を着ない?留美が送ってきたのは女物だけ、だけど」
「はいです!ハプティズムさんなら似合うです!」
「いや…似合わないと思う……というか、着せたら脱がすんでしょう…?」
「今やってるのは『お代官様ごっこ』だもの。当然よ」
その言葉を聞いて、アレルヤは体を反転、脱兎のごとく駆けだした。
「待ちなさい!」
スメラギの声が聞こえたが……待てるわけがなかった。
追いかけてくる足音二つに、さらに走るスピードを上げる。捕まったら女物の着物だけではなく……絶対に他の物まで着せられて、挙げ句の果てには写真まで撮られて永久保存版にされてしまうに違いないのだ。
とにかく、それだけは避けなければならない。
しかし逃げ込む場所が……そう思っている内に辿り着いたのは、アリオスとダブルオーがいる場所、だった。
「え!?アレルヤさん!?」
「ごめん匿って!」
突然に駆け込んできた自分に驚いた様子の沙慈に一言しか言えないまま、アリオスのコクピットの中へと滑り込む。
「アレルヤ!……って、あら?」
間一髪、だった。
コクピットに収まった丁度その瞬間に、部屋に追っ手の一人……スメラギの声が響いたからだ。ミレイナは別の方へ探しに行ったらしく、声は聞こえない。
……果たして、沙慈はちゃんと誤魔化してくれるだろうか?説明が十分であったとは言い難いので、あるいは……という状況も、考えるべきだろう。
「ね、アレルヤ知らない?」
「あ……その」
「知らないな」
オドオドしている沙慈の声に被って聞こえた声に、アレルヤは軽く目を見開いた。この声は、まさか。けれど……ここには沙慈しかいなかったハズで。
そんな自分の戸惑いをよそに、話は続いていく。
「そう……ここに入ったと思ったんだけど」
「見間違いだろう。ここにはいない」
「……分かったわ。騒がせてごめんなさいね」
静かなスメラギの声と遠ざかっていく足音を耳に、アレルヤはほう、と安堵の息を吐いた。今更ながらに、危ない状況だったのだと実感する。
そして。
「アレルヤ……何故、追われていた?」
「あはは……着せ替え人形にされかけたから、かな?」
上を見上げて、こちらを覗き込んでいる一人の青年に、ニコリと微笑んで返す。
「匿ってくれてありがと、刹那。ところで……どこにいたの?」
「ダブルオーの中だ。沙慈・クロスロードとメンテナンスをしていた」
「成る程……」
どうりで見えないはずである。
そうかそうかと頷いて、コクピットから出ようとしたところで刹那に止められた。
「ほとぼりが冷めるまで隠れていた方が良い」
「ほとぼり、冷めるの……?」
「少しでも冷ます方が良いだろう。俺が見張っておく」
力強く答える彼を頼もしく思って、笑う。
「じゃあ、よろしく頼むよ」
そして……
また足音が聞こえて、やらなくても良いのに慌ててコクピットの中で縮まった。
微妙に刹那と沙慈が仲良しです。
ていうか、回ってるのはミレイナだけだ…よ…。