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カテゴリーはマイスターに入れてしまいました…が…イノベイターが凄いです。出まくってます。
いつもより微妙に長めなので注意。
そしてギャグなのですよ。



「ねぇ……やっぱりライルを連れて来なかったのって…悪いんじゃないかな?」
「アレルヤ、それは違う」
 とあるお食事処で、メニューを開いていた刹那、アレルヤ、ティエリア。
 そこには彼の言うとおり、ライルの姿は無い。こんな状況だ、仲間はずれだと憤ってみたりする人間もいるかもしれない。けれども、好きで彼だけを置いてきたわけではない。別に来てもらってもどうでも刹那は構わなかったのだ、が……どうしても、彼だけは連れてくるわけにはいかなかった。その理由は、自分たちがこの場にいる原因ともなっていた。
 どういうことかと説明を誰かに与えるのなら、酷く苛立っているティエリアを見てもらうだけで良い。それとライルがいない……その事実を照らし合わせれば、容易に想像が付くだろうものだ。
 そう。ライルは毎度の事ながらティエリアの逆鱗に触れてしまったのである。
 そろそろ対ティエリア用の接し方を身につけて欲しい物だが、最近入ってきたのである彼にそれを求めるのは……まだ酷だろうか。何とかしないと、いい加減、彼の命の心配をしなければならない気がするのだが。
 ともかく、そういう事が原因で、ティエリアとライルを離ればなれにしておかなければ、という話になった。『気がする』どころでなく、本気で彼の命が危機に晒されていたための、戦術予報士も認めたやむを得ない選択だ。
 しかし、だからといってティエリア一人を放り出すわけにもいかず、自分とアレルヤがついてきた。そういうことなのだった。
 だからこそ、断言できる。
「いいか、アレルヤ……ライルがこの場にいれば、間違いなくアイツは命を落とす」
「え…!?」
「賭けても良い」
「……うん、分かった。刹那がそこまで言うのなら本当だよね」
 力強く言えば、彼も説得されてくれたようだ。素直に頷いて、神妙な表情になったアレルヤは……多分、これからのライルのことを心配しているのだろう。
 やはりアレルヤは気遣いが出来る。思いながらチラリとティエリアの方へ視線をやれば……彼は、メニュー表を憎い仇のように睨め付けていた。
 尋常でなく不機嫌だった。
 そうなると気になるのが人間の性と言うべきだろうか。アレルヤは怖ず怖ずと、もう一つのメニュー表に少しだけ隠れた状態でティエリアを見た。
「…………ティエリア、今回は何て言われたんだい?」
「……ミッションで女装をしたことは覚えているか?」
「あぁ、あれか」
 言われて、刹那が思い浮かべたのは長髪長身の女性の姿。正直、あそこまで背の高い女性はいかなるものだろうと思ったのだが、案外融け込んでいたのだと後に聞いた、そんな女性の姿である。
「それがどうかしたのか?」
「アイツ……何と言ったと思う!?」
「何て言われたの…?」
「思い出すだけで怖気が立つ……っ」
 ぶる、と震えて見せて、ティエリアはガタンと席を立って宣言するように叫んだ。
「言うに事欠いて『生まれてくる性別間違えてるよな……』だと!?ふざけるな!貴様のような男に言われる筋合いはない!」
「ティ…ティエリア……熱くならない方が……ここレストラン…」
 天を突きそうな勢いの怒気に怯えて腕に抱きついてくるアレルヤに、刹那は安心しろという様に目配せをしてみせる。変なリアクションをすれば彼の怒りの矛先がこちらに来ることは、付き合いが長いのでよくよく分かっている。
 というか……まぁ、正直、ライルの言うことも分からなくはないのだが……それを口にした二代目ロックオンは割と勇者だと思った。後で表彰でもしてやるべきだろうか。景品は何も無い上に賞状すら無いが。
 それはともかく、一般人がこちらをチラチラと見ているを確認し、落ち着いてもらわなければとティエリアに向き直る。
「……ティエリア、目立つ行動は止めるべきだ」
「そうだよ、ティエリア。君たちはCBで、さらに言うとそっちの二人は顔も割れてるんだしね。気をつけるに越したことはないよ。ねぇ、リボンズ?」
「その通りだね、リジェネ。にしてもこのレストラン……やけに狭いのに人口密度が大変なことになってるよ。ヒリング、君が言うから来たんだけど……貸し切りにしようか」
「ダメよ。ノリで一般人の生活を見てみようってことにしたのに。そんなコトしたら台無しでしょ?せっかく私たちがやる気になったんだから、ね?」
 そして聞こえてきた声に、思わず席をずり落ちかけた。
 慌てて声のした方へ視線をやると……いたのは、ティエリア同様に確実に一般市民でない髪色を持った三人のヒトビト。
 確か、イノベイター。
「え……っと……………何でいるの?」
「ちょっとした社会見学さ。変わってしまう前の世界を見るのも良いかと思って。あぁティエリア、席を譲ってくれないかい?君の隣もいいけれど、そこじゃアレルヤと向かい合わせになれないから」
 唖然としているアレルヤに友好的に微笑みかけ、リジェネは実に勝手極まりない事をさらっと口にした。当然でしょ?という響きを持って。
 だが、それだけでなかった。
「じゃあ僕は刹那の場所をもらおうかな」
「リボンズとリジェネだけずるいわよ!こういうときは公平にジャンケンでしょ!?」
「何がジャンケンだ……」
 脱力しながらも刹那はツッコミを入れた。
 何だろう、この勝手気ままさは。こんな彼らが連邦を動かしてるのは、絶対に何かの間違いだ。間違いじゃなければ、連邦の偉い誰かが彼らを見誤ってるに違いない。
 そんな思いを込めたツッコミだったのだが……当然ながら、イノベイター三人組の耳に届くわけもなく。
 キョトンとしていたヒリングは、あ、と何かに思い至ったように手を打った。
「そうね。ジャンケンじゃ時間が掛かりすぎるわ。別のにしましょう」
「それ以前に我々が席を譲ると思っているのか……?」
 地の底から這ってくるようなティエリアの声に、刹那とアレルヤはハッと顔を見合わせた。そうだ…ティエリアは、今、最低最悪なほどに機嫌が悪いのだ。そこにこんな爆弾を放り込めば誘爆は必至。規模はとんでもなく広がる。
 だが、刹那はこの状況を打破できる手段を持ち合わせてはいなかった。
 こう言うときにロックオンがいれば……と一代目ロックオンを思っていると、焦った様子のアレルヤがビッと手を挙げて提案した。
「じゃっ……じゃあ、六人席に移動しよう!?ねっ!?」
 根本的な解決にはなっていない提案だった。
 手を挙げる必要はあったんだろうかと思い、余裕がないときは偶に変な行動をしてしまうから……と先に配られていた水を飲む。とっさの行動だったのだろう。
 修羅場を先延ばしにする効果くらいはあるだろうか……という提案だったが、
「別に移動しなくても、こっちの二人席をくっつければいいじゃないか」
 リジェネの無慈悲なこの一言によって、淡くも希望は打ち砕かれた。
 絶望とはこのような気持ちのことなのか。そう感じながらも刹那は素直に彼らが示した机を引っ張り寄せる。何でこんなことをしてるのだろうと、自分でも割と不思議だった。
 ……だからといって状況がどうなるワケでもなく、いつになったら注文が出来るのだろうかと途方に暮れていた、その時。
「しょうがないなぁ……刹那、アレルヤ、君たちはそっちに一つずれて。で、アレルヤの隣にティエリア座って。僕らは向かいに座るから」
「えぇぇ!?リボンズ、それって酷くない!?」
「そうよリボンズ!隣に座るチャンスなのよ!?」
 リボンズの言葉に反論を唱えるリジェネとヒリング。
 だが、リボンズは首を振った。
「ダメだよ。いい加減にしないと昼食が食べられないだろう?僕はお腹がすいてるんだ」
「……分かったよ」
「……仕方ないわね」
 鶴の一声とは、まさにこのことだった。
 大人しく従うイノベイター二人と従わせたリボンズを眺めながら移動して、全員が席に座ったところで何となく安堵の息を吐く。とりあえず、一山越えた感じだ。
「あ、すみませーん、注文お願いできますかー?」
 そうして暫く経って、アレルヤがウェイトレスに声を掛けた。
 先ほどの様子を見ていたのだろう、ビクビクしながらやってきたウェイトレスに同情しつつ、刹那、ティエリア、そしてアレルヤと注文をしていた時。
「…あと、コーヒーを……」
「ダメだよアレルヤ!」
 アレルヤの注文を遮るようにリジェネが口を開いた。
 ウェイトレス含む四人がリジェネの方を向くと、彼は何を驚いているのかとでも言い出しそうな表情で、ビシッとアレルヤを指さした。
「君はオレンジジュースを頼まないといけないんだよ!」
「え……何でオレンジジュース?」
「だってそれは君の乗るガンダ……」
「リジェネ・レジェッタ、秘密事項を口にするな!」
「むもがっ!?」
 向かいに座っていたティエリアが、慌てた様子でお絞りをリジェネの口の中へと突き入れるのを認めつつ、敢えてそちらに触れないことにして、刹那は顔を引きつらせているウェイトレスに言った。
「アレルヤにはコーヒーで良い」
「あ…はい。他の皆様は……」
「じゃ、私がオレンジジュースもらうわ。あとはコレとコレと…」
「僕はコレが良いかな。リジェネ、君はどうするんだい?」
「もぐひゃ…ぷはっ……ティエリア、お絞りを突き入れるなんて酷くない?あ、僕はコレ」
「か……かしこまりました……っ」
 そのまま走り去っていくウェイトレスの背を眺め、思う。
 ……本当に、同情する、と。




これ、本当はお題の方にしたかったんだけど…それには長すぎないですか?ということでこうなりました。
リヴァイヴとかもう一人のイノベイターは、アロウズにいたり留守番だったりしてます。
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ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
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