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ということで、ラの付く人が登場です。
実は微妙に「CB家 とある日の朝」複線があったり…するんです。

拍手再録です。




 ~ラの付く人、衝撃発言~

「俺、今日からこの家に住むことにしたから」
 ロックオンがいない中、突然に訪れたライルは実にさらりと……自分から見ると、とんでもないことを言い出した。
 その言葉を受けて、ティエリアは。
「事前予告も無しに何を言っている!」
 思わず彼の顔面を殴っていた。
 慌てて手を出すアレルヤに支えられるライルを見下ろして、玄関に立ててあった傘を手に取り、振り上げる。
「君の突拍子無さには敬服するが、生憎、君を受け入れる場所はない。帰れ」
「酷いな…ちゃんと保護者殿には許可、もらって来たんだぜ?」
「あんのアル中……ッ」
 悪鬼すら待避しそうな顔でハレルヤが呟くのを、心中で激しく同意しながら訊く。あの戦術予報士……じゃなかった、天気予報士は、一体何を考えているのだろう。自分とハレルヤが、どれほどライルを邪険に扱っているかを知らないワケではあるまいし。
 だが、許可があるというなら仕方がない。
 悔しさを噛み締めながら、ティエリアは玄関の扉の前から退いた。
「ならば入るが良い」
「…ティエリア、家主でもないのにその物言いはどうだ…?」
 小さな刹那の呟きが聞こえてきたが、気にしない。家主で無かろうとこの家に住んでいる以上、ここで快適に暮らす権利くらいは持っている。それを多少なりとも手放してまで許可したのだ……それ相応の振る舞いをしてはもらうが。
 しかし、既に立ち上がっているのに、一向に動こうとしないライルを不審の目で見る。
「どうかしたのか?入れば良いだろう?」
「…あぁ、入りたいのは山々なんだがな?」
 それからチラリと自分の手元に目をやって、逸らした。
「できりゃ……その傘、降ろしてくれないか…?」
 その視線の先には、振り上げたままの傘があった。
 彼と傘を見比べて、首を傾げる。
「何故だ?」
「怖いんですって言わないとダメなワケか…?」
「怖い?何を怖がっている?一撃で殺るから痛みはないし、問題はないぞ?」
「充分怖いってのッ!」
「ティエリア……そんなことしたら、後でロックオンに怒られるよ…?」

(2008/12/07)


~ラの付く人、リビングにて~

「上のタイトル、何だろな……」
「ライル…どうかしましたか?」
「いや、少し黄昏れてただけだから」
 どうにもしてない、とライルはタバコを灰皿に押し付けた。
 それから食卓の上にあったクッキーを手に取る、自分たちと共に再び住むことになったロックオンそっくりの男を見つつ、刹那はガンプラを作成していた。正直……自分のガンプラ作成を邪魔しないのなら、あっちはどうでも良い。
 しかし、そう思わないのが約二名。
 うち片方はただ今締め切りに追われて、ソーマと一緒に自室に籠もっているので考えの外に置いても大丈夫だが……残念なことに、もう片方はしっかりとこのリビングに居座っているのだ。凄く不機嫌そうな顔でライルを見ている。
 いつものストッパーであるロックオンが外へ散歩に出ている中、ここは危険エリアと化していた。いつ戦いの火蓋が切って落とされても…おかしくはない。
 というか…ライルもライルである。ロックオンがいない時を見計らったとしか思えないタイミングで、よくも来訪して衝撃発言をしてくれた。あの時はハレルヤとティエリア両方がここにいたわけだが、ソーマがいてくれて助かった。ハレルヤなんて、今にも飛びかかりそうな感じだった。
「…刹那・F・セイエイ」
「断る。追い出したかったら自分でやれ」
「ガンプラを…ダブルオーガンダムを人質にとったと言ってもか?」
「残念だが」
 フン、と笑って一言。
「ダブルオーガンダムは厳重に、分厚い壁の金庫の中に保存してある。暗証番号を知っているのは俺だけだ」
 だから人質は無理。
 そう言ってやると、ティエリアは悔しそうな顔をした後、ソファーから立ち上がって食卓にいるアレルヤとライルの方へと向かった。
 それを見てやっと一人でガンプラを…と思ったが、よく考えると彼を一人で差し向けてしまうと、こちらにも尋常ならざる被害が出てしまう。
 考え込んだのは一瞬で、刹那はその後直ぐに作りかけのガンプラを手に取って、リビングから待避した。

(2008/12/07)


 ~ラの付く人、事後承諾~

「ラ……ライル…!?」
「よ、兄さん。元気にしてたか?」
 リビングに入ったロックオンの視界には不機嫌そうなティエリア、呆れ顔の刹那、苦笑を浮かべているアレルヤ、目の据わっているハレルヤ、溜息を吐いているソーマ(作家のハレルヤの、原稿でも催促にきたのだろう。担当だし)……そして、ここにはいないはずのライルの姿があった。
 予想も出来なかった(出来るはずもないが)展開に目を白黒させていると、ソーマが再び溜息を吐いてから口を開いた。
「この人も、この家に住むのだと言っていました」
「へぇ、ライルお前も……て……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「そんなに驚くことか?…あ、このシシャモ美味いな」
「そうですか?」
「んなほのぼの会話をしてる場合!?ライル、お前正気か!?」
「正気って兄さん…」
 はぐ、と新たなシシャモを咥えつつ、一言。
「大げさ過ぎだろ、たかだが移り住むくらい。部屋だって有り余ってるようだし」
「大げさじゃねーよ!お前、ここにお前が住むって事はつまり、いつ死人が出てもおかしくないって事と同意語じゃねーかっ!」
 主に犯人候補としてあげられるのはティエリアとハレルヤ。
 対して、被害者はライルと…場合によっては巻き込まれるガンプラくらいのものである。
 確か…ティエリアは、ライルのことが『何となく嫌い』なのだそうで、ハレルヤはアレルヤに過度のスキンシップを行おうとする(別名:酷すぎるおちょくり・からかい)ので気にくわないのだとか何だとか。
 ともかく、である。
「こんな場所に移り住もうっていうのは自殺行為って言うか自殺志望だろ!?」
「そーいや、来たときもティエリアに殺されかけたっけな…」
「なら、その時に危機を察知して帰れ!」
「いや、それがな?一人暮らしに飽きてきて、だからこっちに…」
「本気で帰れお前!」
 
(2008/12/07)
 

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