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ユニオン組は素晴らしい。
拍手再録です。
12.常夏 (ユニオン)
「夏が早く来て欲しい?」
唐突なグラハムの言葉を、カタギリは思わず聞き返した。
「それはまた…何でだい?」
現在は十一月。夏と呼ばれる季節が訪れるのは……半年以上も先のこと。今からその季節のことを思うのは、せっかちにも程があるだろう。
かなり季節外れ…ということは、それを思いつくだけの理由という物が有ると考えるべきだ。でなければ考えることは、多分無い。
だから原因は何だろうかと首を傾げていると、グラハムはフフンと笑って人差し指を立てた。
「カタギリ、夏と言えば何だ?」
「夏……そうだねぇ、クーラー、かな?」
「…それは非健康すぎないか?」
「けど、僕って夏の間も部屋に籠もって色々やってるからねぇ…これしか浮かばなくて」
まぁ、確かに健康的ではないけど。
しかし、他の例は……と、カタギリは腕を組んだ。
「他だったら…薄着とか、熱帯夜とか…あとは海水浴とか?」
「そう、それだ!海水浴だ!」
「海水浴?」
唐突と言えば唐突なのだが……実は、肝試しとか言い出しそうな気もしていたので、その返事に少々拍子抜けした。彼にしてはありきたりな言葉、である。
どういうことかな?と視線で訊いてみれば、笑顔で彼は一言。
「夏と言えば海水浴!海水浴と言えば水着だ!」
「うん、そうだねぇ」
「ということは、ガンダムの水着姿が見られるということだ!」
太陽のように輝く笑みで、グラハムはそう断言した。
対してカタギリは、にこりと笑みを浮かべ。
「ありえないね」
穏やかに言葉を紡ぎつつ、ユニオンのエースにアッパーを食らわせていた。
(2008/12/07)