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10. 開かずの扉の鍵は此処に


 気付けば、そこは中ぐらいの大きさの部屋だった。
 ぐるりと見渡してみると、花瓶、暖炉、ベッド、テーブル、椅子……とにかく西洋風に、生活に困らないような設備が設置されていた。
 つまり……自分はこの場に監禁されると言うことか。

「あの二人……」

 浮かんでくるのは、以人の生き残りたる二人。ハレルヤとソーマ。
 そして二人の目的のこと。
 そう。

 人を皆殺すこと。

 何がどうして二人がそんなことを決めたのかは知らない。きっと、自分には皆目見当の付かない何か……あるいは見当が付きすぎて逆に分からないような、そんな何かによるものなのだろう。

「起きたか」
「…ティエリア・アーデ?」

 思考に集中していた刹那は彼の気配に気付くことは出来ず、したがって突然となったティエリアの登場に驚きつつも……素直に受け入れた。自分がいて、彼がいないというのは妙だ。今までいなかったのは多分、この場所についての情報収集に励んでいたからなのだろう。そう……この場所から出るための。
 それが果たして正しい行動なのか、刹那にはあまり分からない。これは彼らが自分たちを巻き込まないための『配慮』であり、だからこそジッとしておくべきだとも思う。だが、一方ではずっと一所に留まっていても何もならない…そんな思いもあった。

「この場所を散策していたのか?」
「あぁ。君も想像できていると思うが……出ることが出来る場所を探していた。だが…窓から外を見ることが出来ても、外に出ることは出来なかった」
「やはり……」

 ここは檻なのだ。
 内部から出さないための。
 外部から影響を与えないための。
 ここはその檻。

「ずっとこのまま…か」
「ただ、一つだけ空かない扉があった。そこ以外は開くが…外には繋がらない」
「ということは…そこが出口か?」

 しかし、だとしても開きようがなければどうしようもない。
 どうするんだ?と視線で問えば、軽い溜息が返ってきた。

「分からない。とりあえずライルに色々とさせているんだが……どうしても、な」
「あぁ、それがライルがいない理由か……」

 少し前から気になっていたのだが納得である。
 にしても……開かない扉の鍵、というのは。

「あれのことじゃないのか……?」
「ん?」
「あれだ」

 刹那が指さしたのは、暖炉……の平らな部分の上に置かれている鍵。
 見るからにあらかさま……という不安要素タップリの鍵ではあるのだが、これ以外に手がかりが無いのだから仕方がない。
 案の定、ティエリアも不審そうにそれを見ていたが……やはり自分と同じ結論に辿り着いたのか、コクリと頷いてそちらへ向かった。
 そして二人が辿り着いて、ティエリアがその鍵に手を伸ばし……

「……?取れないぞ?飾りじゃないのか?」
「そうなのか?」

 首を傾げる彼の代わりに刹那は鍵に手を伸ばして。
 するとヒョイと、それは軽く持ち上がった。

 

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