半兵衛「わざわざ悪いね、政宗君。こんなに七草粥を持ってきてもらって」
政宗「礼にはおよばねぇよ。むしろ食ってくれてありがとう、ってとこだ」
元就「ほう……ということは、食べきれぬ程に作られておるのか」
政宗「まぁな。ちなみに言うと、去年もその前の年もいつもそんな感じでよ……」
慶次「えぇと、右目さんが作ったんだっけ？七草粥」
政宗「That’s right。アイツ……毎年、妙に張り切って七草粥作るんだよな」
元就「その結果がこの量か」
政宗「そういう事だな。困った話だろ？」
半兵衛「まぁ、その言葉には是を返しておこうかな。もっとも……お陰で僕らは美味しい七草粥を無料で食べれて、良い思いをしてるわけだけれどもね」
元就「ふむ……しかし、これだけの出来ならば無料と言うのも少々申し訳なく思うがな」
慶次「へぇ……元就でも申し訳なさとか覚えたりするんだ。ちょっと意外」
元就「……風来坊よ、後で貴様には風になってもらうぞ」
慶次「え？風？何で？ってか……どうやって？」
元就「崖から突き落とすのだが」
慶次「止めて死ぬ」
元就「ならば死ね」
慶次「お願いだからそう言う事は言い切らないでほしいなぁ……」
元就「何を突然言い出すのだ？その様な事など今更であろうが」
半兵衛「だよねぇ……あ、あと、そういう事なら僕も協力するよ、元就君」
元就「余計な手出しは不要ぞ。既に崖の方も手配してある」
半兵衛「ふぅん……君が手配したという崖、ちょっと見て見たい気がするね」
元就「興味本位なら止めておくが良い。落ちたら確実に命を落とす」
慶次「……風になるっていうか大地に返りそうで怖いです」
政宗「いや、一瞬くらいなら風になれるだろ、お前も。……あと、」
慶次「あと？」
政宗「お前、返る先は大地じゃねぇ可能性があるぜ？」
慶次「へ？」
政宗「どっちかっつーと海の藻屑の方が正しいと思うぜ、俺は」
慶次「……あぁ、崖は崖でも山の崖じゃなくて海の崖かぁ……」
政宗「ま、どっちにしたって生存見込みは零だろうけどな」
慶次「そりゃ、元就が手配したっていうんだから間違いは無いだろうなぁ……」
政宗「っつーことで慶次」
慶次「何だい？」
政宗「三途の川渡る前に出来るだけ七草粥食ってけ。最後の晩餐だろ」
慶次「最後じゃないからね！？川渡る気ないからね！？」
政宗「あ、そうなのか？」
慶次「そうだよ！落とされる前に逃げるよ！何で落とされる事確定になってんの！？」
政宗「だって相手は元就だろ」
慶次「その言葉に納得しかけてる俺がいるよ……」
元就「納得したならそのまま風になってくればよかろう」
慶次「それは限りなく無茶振りだ！」
半兵衛「人間、やろうと思えば何でもできるさ。だから諦めずに頑張りなよ」
慶次「これは頑張るような事柄じゃない！」
政宗「Ah……つーか、既に風は他にいるから別に慶次になってもらう必要ねぇよな」
元就「風……風魔小太朗の事か？」
半兵衛「確かにキャラ被りは問題だね……ただでさえ彼は空気化が進んでるのに」
元就「だとしてもさほど問題はあるまい」
半兵衛「だね。だって、彼、」
元就「崖から飛び降りるのだからな」
半兵衛「そして命を落とすのだしね」
慶次「おいっ！？」
政宗「殺る気満々じゃねぇか」
慶次「もうヤダこいつら……っ！助けて政宗……え？何してるの？」
政宗「何って、移動の準備だぜ？」
慶次「何で移動するの？」
政宗「他の奴らにも七草粥を配って来ようかと思ってな」
慶次「それって明日に回したりできない？」
政宗「早い方がいいだろ、こういう事は」
慶次「……」
政宗「っつーわけだから、とりあえず一人で頑張れよ。じゃあまたな」
慶次「ばいばーい……」
半兵衛「……さて、」
元就「風来坊よ」
半兵衛＆元就「「覚悟は良い（か）？」」
慶次「いっ……良いわけあるかぁーっ！」
政宗が次に行くところはきっと幸村のところとか。
