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こちらもヴァリアーのと同じく、並盛中心拍手再録。正確に言うと。
~鳥と小鳥と~
暇。それが今の雲雀に一番近い言葉だろう。
見回りはさっきやってきたし、雑務は見回りに出る前に全て片付いてしまっていた。
ということで、暇。
「誰か…咬み殺されてくれる人がいればよかったのに」
呟きながら欠伸を噛み殺して、雲雀はそのままソファーに横になった。
こうしてみると、ディーノと修行という扱いだった戦闘をしていた時は本当に、暇という言葉とは無縁だったのだと分かる。残念だとは思わないが、惜しいとは思った。こういうときにこそ彼のような存在は重宝できるのに……ただし部下がいるとき限定。いないと完全にダメな人だし、そんなのと戦っても面白くない。以前試したら瞬殺だったし。
あの時は本当に拍子抜けだったよ。そう思いながら目を閉じると、ふいに聞こえる羽音。あの黄色い小鳥の羽音だ。
何だろうと再び目を開けば、かの小鳥が丁度胸の辺りにとまっていた。
「どうかしたの?」
「ヒバリ、ライキャク」
「来客?こんな時間帯に?」
それは何とも。今は授業時間であるはずだが、来客というのは一体誰なのやら。場合によっては相手を咬み殺すことになりそうだが。
「今、その来客はどのあたりにいるの?」
「ドア」
「ドアの向こう側?」
言いながらも意識をそちらへ伸ばしてみれば……確かに人の気配がある。しかも良く知っている系の。何でここに来てるんだとツッコミを入れたくなるような。
ゆっくりと身を起こして、雲雀は口を開いた。
「鍵は開いてるよ」
「おや、そうなんですか」
そんな言葉と共に入ってきた相手にトンファーを投げつけようとして、雲雀はすんでの所で止まった。骸かと思ったら、実際に骸だが、姿はクロームのままだったのだ。骸はともかくクロームに対して思うところはないので、何となく攻撃も止めてしまう。
だが、こんな来訪も何度もあれば慣れるという物で。
雲雀は直ぐさま無視して小鳥と戯れることにした。彼と話すよりは何倍も有意義だろう。
「…恭弥君…あの、僕のことは放置ですか?」
ちょっと恨みの籠もった視線を送ってくる南国植物は、当然無視した。
(2009/04/15)
~蜂蜜捕獲作戦~
鬱陶しい、というのが今の正直な気持ちだった。
本当に鬱陶しい。今現在雲雀の指にはまっているこの、よく分からないが価値はあるらしい指輪関連で戦闘訓練を行っていたときは、まだ良かった。あの時は『戦闘訓練』という雲雀にしてみると多大な意味を持つ免罪符を彼は所有していたのだから。
だがしかし、それが無くなってしまえばもう彼は用済みであって。
以来、何度も何度も遊びにやってくるあの蜂蜜色の髪を持つ男を、雲雀は少しばかり鬱陶しく、邪魔に思っているのであった。
別に、来たら来たで咬み殺せば良いだけの話ではあるのだけれど、部下がいないときのあの馬はとてつもなく弱い。まぁ、それでも手加減はしない。しかし、そのせいで物足りない気分を味わうのは何となく気に入らない。
勝手に押しかけてくる上に、自分をろくに満足させられないあの馬。
鬱陶しいからどこかに隔離しようかと思い至ったのは今日だった。
「というわけなんだけど、赤ん坊、何かアイディアは無い?」
「ねぇこともねぇが、どうして俺に訊くんだ?」
「だって、赤ん坊は跳ね馬と昔からの知り合いらしいから」
「知ってやがったのか」
「見れば分かるよ。それに隠そうともしていなかった」
それなのに『知っていた』というのもどうだろう。
そうは思ったが、折角リボーンが話に乗ってくれたのだから、という思いもあって口にはしなかった。そんな話は、そもそもどうだって良いのだし。
問題は、隔離する方法だ。
「駆除はしねぇのか?」
「そんなことをしたら戦えなくなる」
「そりゃそうだな。じゃあ、ツナを囮に檻の中にでも入れちまえばどうだ?」
「部下の人無しで?」
「あぁ。ディーノはツナの兄貴分を自覚してんだ。そうすりゃ簡単に片付くと思うがな」
「となると、取り巻きたちが邪魔だね…手伝っては?」
「構わねーぞ」
リボーンはいともあっさりと同意を示し、雲雀は薄く笑った。
これで準備は整った。
あとは、実行有るのみである。
(2009/12/15)