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ユニオンも久しいな…けどダリルがいないんだぜ…ジョシュアだけど、彼は副レギュラーだから。
何かでも、凄く懐かしい…。
16.賞味期限
その日、ハワードはグラハムを呼びに、ユニオン軍の研究室まで来ていた。
どうしてグラハムが研究室にいるかというと、それはカタギリがそちらにいるからであり、グラハムが彼相手にガンダムに関して語ろうと思ったからだろう。何だかんだで自分たちよりも、カタギリの方がガンダムの話に関しては盛り上がるらしい。…聞いた瞬間に納得した自分がいたが、それはさておいて。
「失礼します」
土産のドーナッツを持って室内にはいると、こちらに向けられる三対の目。グラハムと、カタギリと、エイフマンの三名である。恐らくは、始めに研究者が二人いたところにグラハムが訪ねてきたのだろう。
研究室だからな、と思いながらドーナッツをカタギリに差し出して、ハワードはグラハムの方を向いた。
「訓練の時間ですよ。ガンダムの話は後回しでお願いします」
「む……もうそんな時間か?」
「多少は猶予はありますが…速めに行った方が良いと思います」
「よし、ならばハワードも共にガンダムについて語ろう!」
「……人の話を聞いてましたか?」
速めに行った方が良いだろう、と言ったはずなのだが。
しかしグラハムは分かっている、と頷いた。こういう態度を取るときは……絶対に分かってないのだが。そこは言っても詮ないこと…ではある、が。
「猶予はあると私は聞いたぞ?ならば問題などあるまい。用は時間内に着けばいいのだからな!ギリギリであろうと時間内は時間内だ!」
…それはどうだろうか…。
あまりのグラハムの言葉に、流石に、と思ったのかカタギリが苦笑を浮かべた。
「いやぁ…グラハム、やっぱり時間前に余裕を持って集合した方が良いんじゃないかな」
「何を言う、カタギリ。ガンダム以上に大切な物など指折り数えるほどしか無いぞ?」
「本当にガンダムが好きだね、君って人は」
「当然だ!心奪われたのだからな!」
グッと握り拳を作って断言するグラハムを見て、あぁダメだとハワードはため息を吐いた。こうなるとしばらくは止まらないのである。時間ギリギリに辿り着くとか言っていたけれど、多分着くのは時間が少々……いや、大幅に過ぎた頃か。
言い切れるのは他でもなく、自分が自分で経験したことがあるからだった。
かの上官の勢いは、中々止めることが出来ないのである。
「しかし小腹が減ったな……教授、冷蔵庫の中身をいただいてもよろしいですか?」
「構わん。好きな物を食べれば良いじゃろう」
「ではお言葉に甘えて」
ドーナッツに手を出さなかったのは、これが彼ら二人への土産だからだろうか。妙なところで律儀だが、結局彼らの冷蔵庫から物を拝借するのでは変わらない気が……というのは言わぬが花というヤツか。
にしても動じた様子も無い三名の様子から、こういうことは日常茶飯事なのだと伺えるのは……どうしたものなのだろう。度々、こうやって研究室の冷蔵庫から食べ物を失敬しているのか、自分の上官は。そう思うと何だかやるせなさが出てくるが、彼らの感覚だと『家に遊びに来た親しい友人』くらいの物だろうから、これも納得せざるを得ない現状だろう。
そして、そんなハワードの思考は、グラハムが持っていたヨーグルトの容器を見た瞬間に中断された。
「……すみません、それ、賞味期限いつって書いてあります?」
「ざっと一ヶ月前だな。それがどうかしたのか?」
「そんなの食べないでください!」
何でもないように答えるグラハムからヨーグルトを奪って確保し、ハワードは急いで蔵庫の扉を開いた。
そうして見えた中の様子に愕然とする。
「これは昨日が賞味期限だからまだ許せるとして……これは一週間前!?これは二ヶ月前で……一年前!?こんなの食べたら冗談抜きで倒れますよ!」
「へぇ、そんな昔のも入ってたんだ」
「意外な発見じゃの」
「そんなのほほんとしている場合じゃありません!」
ハワードは冷蔵庫から視線を外し、研究者二名と+αを振り返った。
「研究に没頭するからと言って、冷蔵庫の中身の確認を怠らないでください!それから上級大尉!食べる前にはちゃんと賞味期限を確認してください!」
「だが、今までは何の問題も…」
「起こってからでは遅いんです!」
…それから後は大変だった。
集合時間に遅れることになるのは諦めて、三人を使って自分も一緒に冷蔵庫の中を完全に整頓したのだ。割とごちゃっとしていたので大変さも倍増だった。
そうして結果、冷蔵庫の中は殆ど空になった。
ハワードお疲れ様…。
でも、教授ならある程度は整頓してると思うけど…ま、研究者って集中したら集中しきってしまうイメージがあるから何となくね。