式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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五連休も今日で折り返し…あぁ、何だか短く感じられます。
というのは関係ない話です。
「そういやさ、この旅館って露天風呂があるんだろ?」
そのライルの言葉は、実に唐突な物だった。
え?と視線をやると、双子の弟はどこから取ってきたのかは知らないが、この旅館の案内のパンフレットを開いて見せた。
「料理とかも美味しいって書いてあるけどな、一番のメインは露天風呂らしいぜ」
「へぇ…そういや昨日の夜は雨降ってたな」
「そうそう。だから俺も提案しなかったけど…行くか?」
「別に反対する気もないけどな」
ぐるりと、部屋の中を見渡して肩をすくめる。
「状況が状況だし、いなくなるのはマズイんじゃないか?」
今、部屋の中にはニールとライルしかいなかった。
刹那、アレルヤ、ハレルヤの三名及びティエリアは、昨日出会ったという道化師とやらを探してどこかへ行ってしまった。昨日の話を聞いてからどうしても気になるんだ、と言ったティエリアと、どのみち再び会おうと考えていたらしい三名の利害が一致したための現状である。
果たして出会えたのだろうかと、残された側としては考えを巡らせる以外にすることはない。あとは出会えているようにと願うことくらいか。
出会えていたら、帰ってきたときにでも感想を聞かせてもらうことにしよう。
…しかし、そういうワケなので部屋を開けるのは少々憚られる。四人がいつ帰ってくるかも分からない状況なのだから。
そんなニールの考えに、ライルはさらっと答えた。
「書き置きでもしときゃ良いんじゃないか?」
「いやな、それで情報伝達は十分だとしても、だ」
問題はその後。
「勝手に俺らだけで露天風呂に言ったことがばれてみろ。ティエリアとか…場合によったらハレルヤにも文句を言われる」
「……うわぁ」
「刹那とアレルヤはそんなことないと思うけどな」
顔を引きつらせるライルに、慰めとも言えない最後の言葉を言い終えて、ニールは腕を組んだ。
そうだとしても…露天風呂の誘惑は意外と大きい。先ほどまでは知らなかったから何のリアクションも取らなかったが、もう既にライルによってこちらも存在を知らされてしまった。そうなると、こういうものはとことん気になる物なのである。
誘惑に負けたら後が恐ろしい事になるぞ、と何度も何度も自分に言い聞かせている間に何かを気付いたらしい、ライルがすっと目を細めた。
「……ニール、行きたいとか思ってるだろ」
「いや、別に思ってないけど?」
「その顔は思ってる顔だって。そんくらい分かる」
「だから思ってないって」
「…強情だな」
素直になれよ、と簡単にライルは言ってくれるが生憎と、こちらはティエリアとハレルヤが組んだときの恐ろしさを身をもって体感したことがあるのだ。ティエリアしか知らない、刹那という…ストッパーに成長した彼がいる状態しか知らないライルに、このことに関してとやかく言われる筋合いはない。
本当に、あの二人が組むと恐ろしい。死ぬのではないだろうかと思ったことも、それはもう一度や二度では住まないだろう。
だから、と言いはしないが頑なに拒否をすると、それでライルも何かを感じ取ったらしい。そうか、と一言だけ零して黙った。
しばしの沈黙。
それを最初に破ったのは、やはりというべきか、ライルだった。
「……なぁ、ニール」
「何だ?」
「ティエリアと…ハレルヤ、だっけ?その二人のコンビ、そんなに怖いのか?」
「あぁ、あれはもう最終兵器で良いと思ってるぜ」
迷うことなく即決だ。
「だからな、ライル、お前はそこそこ幸せなんだぞ」
「そこそこ?」
「そうだ。だってな、四年経ってティエリアも結構丸くなったろ?刹那って言うストッパーも出来たし、ハレルヤも滅多に出なくなって、アレルヤは相変わらず穏やかなままだ。それと比べて…」
こちらは本当に何だろう。かなりトゲトゲしていた時代のティエリアに、あまりヒトと関わらず助けてもくれない刹那に、しょっちゅう出てくるハレルヤ、アレルヤはそれを止めることが出来なくて。
考えてみると、ライルの待遇は本当に良くなっている。
羨ましいと思うより先に、弟のその『そこそこ』の幸せに感謝しながら、ニールはライルが持っていたパンフレットを手に取る。
「お、卓球も出来るらしいぜ、ここ」
「レクリエーション室か?…凄いよな、本当」
「バスケも出来るらしいが……そんなスペースあったか?」
「細かいことは気にしない方が良いって。禿げるぜ?」
ハレルヤ被害にあわなかっただけ、ライルは微妙に幸せだと思う…。
そのライルの言葉は、実に唐突な物だった。
え?と視線をやると、双子の弟はどこから取ってきたのかは知らないが、この旅館の案内のパンフレットを開いて見せた。
「料理とかも美味しいって書いてあるけどな、一番のメインは露天風呂らしいぜ」
「へぇ…そういや昨日の夜は雨降ってたな」
「そうそう。だから俺も提案しなかったけど…行くか?」
「別に反対する気もないけどな」
ぐるりと、部屋の中を見渡して肩をすくめる。
「状況が状況だし、いなくなるのはマズイんじゃないか?」
今、部屋の中にはニールとライルしかいなかった。
刹那、アレルヤ、ハレルヤの三名及びティエリアは、昨日出会ったという道化師とやらを探してどこかへ行ってしまった。昨日の話を聞いてからどうしても気になるんだ、と言ったティエリアと、どのみち再び会おうと考えていたらしい三名の利害が一致したための現状である。
果たして出会えたのだろうかと、残された側としては考えを巡らせる以外にすることはない。あとは出会えているようにと願うことくらいか。
出会えていたら、帰ってきたときにでも感想を聞かせてもらうことにしよう。
…しかし、そういうワケなので部屋を開けるのは少々憚られる。四人がいつ帰ってくるかも分からない状況なのだから。
そんなニールの考えに、ライルはさらっと答えた。
「書き置きでもしときゃ良いんじゃないか?」
「いやな、それで情報伝達は十分だとしても、だ」
問題はその後。
「勝手に俺らだけで露天風呂に言ったことがばれてみろ。ティエリアとか…場合によったらハレルヤにも文句を言われる」
「……うわぁ」
「刹那とアレルヤはそんなことないと思うけどな」
顔を引きつらせるライルに、慰めとも言えない最後の言葉を言い終えて、ニールは腕を組んだ。
そうだとしても…露天風呂の誘惑は意外と大きい。先ほどまでは知らなかったから何のリアクションも取らなかったが、もう既にライルによってこちらも存在を知らされてしまった。そうなると、こういうものはとことん気になる物なのである。
誘惑に負けたら後が恐ろしい事になるぞ、と何度も何度も自分に言い聞かせている間に何かを気付いたらしい、ライルがすっと目を細めた。
「……ニール、行きたいとか思ってるだろ」
「いや、別に思ってないけど?」
「その顔は思ってる顔だって。そんくらい分かる」
「だから思ってないって」
「…強情だな」
素直になれよ、と簡単にライルは言ってくれるが生憎と、こちらはティエリアとハレルヤが組んだときの恐ろしさを身をもって体感したことがあるのだ。ティエリアしか知らない、刹那という…ストッパーに成長した彼がいる状態しか知らないライルに、このことに関してとやかく言われる筋合いはない。
本当に、あの二人が組むと恐ろしい。死ぬのではないだろうかと思ったことも、それはもう一度や二度では住まないだろう。
だから、と言いはしないが頑なに拒否をすると、それでライルも何かを感じ取ったらしい。そうか、と一言だけ零して黙った。
しばしの沈黙。
それを最初に破ったのは、やはりというべきか、ライルだった。
「……なぁ、ニール」
「何だ?」
「ティエリアと…ハレルヤ、だっけ?その二人のコンビ、そんなに怖いのか?」
「あぁ、あれはもう最終兵器で良いと思ってるぜ」
迷うことなく即決だ。
「だからな、ライル、お前はそこそこ幸せなんだぞ」
「そこそこ?」
「そうだ。だってな、四年経ってティエリアも結構丸くなったろ?刹那って言うストッパーも出来たし、ハレルヤも滅多に出なくなって、アレルヤは相変わらず穏やかなままだ。それと比べて…」
こちらは本当に何だろう。かなりトゲトゲしていた時代のティエリアに、あまりヒトと関わらず助けてもくれない刹那に、しょっちゅう出てくるハレルヤ、アレルヤはそれを止めることが出来なくて。
考えてみると、ライルの待遇は本当に良くなっている。
羨ましいと思うより先に、弟のその『そこそこ』の幸せに感謝しながら、ニールはライルが持っていたパンフレットを手に取る。
「お、卓球も出来るらしいぜ、ここ」
「レクリエーション室か?…凄いよな、本当」
「バスケも出来るらしいが……そんなスペースあったか?」
「細かいことは気にしない方が良いって。禿げるぜ?」
ハレルヤ被害にあわなかっただけ、ライルは微妙に幸せだと思う…。
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