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ふと、一期と二期とで一人称が違う彼の一人称は何にするべきかと悩みました。
「全く!君たちは一体どこへ行っていたんだ!?」
帰ってきて早々、ティエリアに怒られてしまったアレルヤは身を小さくした。
彼の怒りはもっともだと思う。ふらりと消えたハレルヤを探しに行ったはずのアレルヤや、刹那までもが行方しれずになってしまったのだから。それを一人で探していたというティエリアには、探させてしまった身としては何も言い返す言葉はない。
だが、それはどうやら自分だけだったらしい。
ハレルヤは明らかに不満そうな顔でティエリアの方を見た。
「別にガキじゃねぇんだし、いなかっただけで目くじら立てんなよ」
「いなくなっても構わないとは思うが、書き置きも何も無しに消えるなと、こちらとしてはそう言いたいんだ!」
「知らねぇよ」
ふぁあ、と欠伸をして片割れは目を閉じた。眠たいらしい。それと、多分もうティエリアの言葉を聞く気はないと言うことだろう。
それは彼も分かったらしい。物凄く不機嫌そうな顔でハレルヤを見た後、今度は、とアレルヤと刹那の方を見た。イライラが伝わってきそうなその目に、少しだけ体がすくみそうになる。
「では君たちに訊く。……どこで油を売っていた?」
「旅館のロビーだ」
「それはこの場所に帰ってくる直前だろう?訊いているのはその前の話だ」
「レクリエーション室だが」
それがどうかしたのか?という表情の刹那にアレルヤは慌てた。そういう反応はティエリアの苛立ちに油を注いでしまうような物で、まさかそれを知らないわけもない刹那だろうに……あぁ、知ってはいても今がその時だという自覚はないのか。それでは意味がないのだけれどどうだろう。
「……では、そこで何をしていた」
「手品を見ていた」
「…手品?」
「あぁ」
こくりと頷いて、刹那は言葉を続ける。
「本人は道化師と名乗っていたが、十分に手品師でも通じそうな気がした」
「何だ?旅館の客か?」
「そう書いていたな」
「…書いて?」
それはどういうことだ?とティエリアが首を傾げたのを見て、アレルヤは苦笑を浮かべながら口を開いた。
「その人ね、とても人見知りだそうで、あまり人前で喋るのが得意じゃないらしいんだ」
「……それで?まさか、紙に文字を書いて情報伝達をする、などと…」
「うん、それがドンピシャ」
「……本当に、か?」
「本当にだよ」
確か、顔の左半分を仮面で覆っていた彼は、無理に喋ると変なことを口走ってしまうのだと伝えてきた。その『変なこと』という内容は気になったのだが、無理に言ってもらう必要はないだろうと知らないままである。
そういえば、とアレルヤはふっと思い出した。
まだ、彼の名前を聞いていなかった気がする。
……訊いておけば良かったのに。残念だ。
「…ともかく、その人の手品はとっても上手だったんだ」
「彼の手品が終わったら帰ってくるつもりだった」
「あれは見ても損はねぇだろうしな」
もう黙るのを止めたらしいハレルヤまで一緒になってそう言うと、ティエリアはどこか考え込むような表情を浮かべた。自分だけでなく刹那、ハレルヤまでもが認める手品師であるかの道化師に、少なからず興味を持ったらしい。
「そいつにはまた会えるのか?」
「さてね。約束してるワケじゃねぇから分からねぇよ」
肩をすくめてハレルヤは答え、そのままゴロンと横になった。
「……ハレルヤ?」
「今度こそ本気で寝る。起こすなよ」
「えぇ?…けど、お風呂とか……」
「明日起きたらやる。もう今日は眠ぃから寝る」
その断定口調にアレルヤは呆れの表情を浮かべた。こうなると、片割れは本当に意見をヒルが左内から。誰が止めても寝るだろう、彼は。
「…分かったよ。けど、ちゃんと布団で寝ること」
「……しゃーねーな……そのくらいはやってやる」
面倒がりつつも立ち上がったハレルヤとアレルヤも一緒に腰を上げた。
どうしたんだ?と視線を受け取って、少しだけ苦笑する。
「僕も眠いから…ハレルヤと一緒にしようかなって思って」
「今から寝て、朝に風呂って?…ま、良いんじゃね?」
風呂って言うか、シャワーになると思うけど。