式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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この辺りから、さらにみんなの苦労が大変なことになるんですよね…。
宇宙に上がる。
それは、言葉にすれば簡単かもしれないが……実行しようとすると、とても困難な物。身をもってそれを実感しながら、それでも、これで良いのだとサンドロックは目の前にいる的を見据えた。
宇宙に上がるという、カトルの言葉は正しい。コロニーの人間は知らないだろうけれど、OZはコロニーを盾に取ってまで自分たちの動きを押さえた相手だ。それだけでなくて、自分たちを嵌めて連邦の平和論者を消してしまった相手だ。
こんな相手に、自分たちの『故郷』に手出しされてなる物か、と。
そう思うのは何も、パイロットたちだけではない。
たとえ、誰に理解されなくても。
ただ……悲しいとは思う。同時に仕方ないとも思うから、どうしようもない板挟みの中にたたずむしかないのだけれど。
『サンドロック!こっちは積み込み終了した!』
「そう……」
通信で送られてくるデスサイズの声を聞いて、本体稼働中に精神体がしまわれる場所……黒の小箱の部屋の中、宙にたゆたいながら改めて敵を見やる。
カトルも言っていたけれど、もう、自分には攻撃手段というものがない。自爆以外には。となれば、他のメンバーが宇宙に上がることを第一に考えているらしい自分のパイロットが、選び取ってしまう行動など考えるまでもなく一つだろう。それを思ってうっすらと笑う。まさか、自爆実行者の二人目が自分になろうとは。
正直、とても痛いだろうから自爆なんてしたくない。そんなことをしてカトルが無事であるとも思えないし。
躊躇う気持ちはある。
それでも……それをパイロットが決めたのならば、自分は口出しする事は出来ない。
「じゃあ、二人とも宇宙で頑張ってね」
『…え?お前は?』
「僕はカトルに付き合うから。僕は死なないしね、後で追うよ」
『自爆、か?』
ナタクの言葉にそうだよ、と頷く。
それから、とても残念な気持ちに襲われた。出来ることなら本体のままで全員宇宙に、というのが理想型だったのだけれど。所詮理想は理想と言うことだろうか。肩をすくめながら、それでも四人はあがれるのだから良い方だろうと結論づける。
だから、デスサイズが、ナタクが何か言いたそうな表情をしているのも気にしないことにした。二人だって自爆がどれほど大変な物かは知っているだろうし。それを置いておいても、一人かけたまま宇宙に、というのは彼らにとっても残念でしょうがないことに違いない。そう思うと、何だか自分が仲間に恵まれているのがちゃんと分かって嬉しくなった。
ひらり、と手を振って、二人に微笑みかける。
「ほら、もしかしたら修理してくれる人もいるかもしれないし。ウイングの時みたいに」
『…それは、そうだけれど』
『……分かった。俺たちは先に行く』
まだあきらめが付かない様子のデスサイズとは対照的に、ナタクは直ぐに気持ちを入れ替えたらしい。こく、と頷いて通信を絶った。
何か以前以上にさっぱりしているなぁと、会わなかった数ヶ月間を思って逆に呆れた。ここはもう少しくらい惜しんでくれても良いのではないだろうか。彼らしくて、これはこれで良いのかもしれないけれど。
「ほら、デスサイズも通信切って。どうせ後で会えるんだから、ね?」
『…絶対だからな』
「うん、分かってるよ」
『……じゃあ、後で、な』
最後まで念押しのように言って、それから切られたもう一つの通信、それと同じくらいの時間に自爆のスイッチが押されたのを感じる。そして、同時に感じるのは何らかのプログラムの発動。
何…?と、とても奥にあったそのプログラムを探り当て、観察して……苦笑した。
「H教授、中々良い物を入れてくれてるじゃないか」
それは、自爆スイッチが押されたら発動するプログラム。カトルを下ろしてから、自分だけが自爆して敵を一掃できるプログラムだった。
どうして自分にまでこのプログラムを隠していたのかは知らないけれど……いや、どうせ間際になって驚かせようとか、そういう思いでもあったのだろうが、とにかく今回は感謝しよう。お陰でカトルは生き延びる。
この機に乗じて勝手に自分の好きなように動こうかと一瞬考えたのだが、流石にそこまでは許してくれないらしい……体の自由がきかなくなっている。ここで勝手に動かれては全てが台無しと、そういうことか。この手回し……『生まれた』ときからずっと一緒にいたH教授だし、こう言うときに自分が何をしようとするかは理解しているのだろう。
だてに長生きはしていないのだな、と思いながら、遠ざかっていく…正確には自分が遠ざかっているのだけれど……カトルの姿を視認する。
「…じゃあ、カトル」
口の端を緩く上げて、呟く。
「自爆の痛みが引いたら僕も宇宙に行くから。精神体だけでも、ね」
さっき、デスサイズとナタクとも約束したし、言葉を交わしてはいないけれど話を聞けばウイングやヘビーアームズも同じようにもうだろうし。
また後で、と言葉を零して。
そして。
自爆、おつかれさまでした。
…おつかれさま、というのも何か違うかも知れませんが。
それは、言葉にすれば簡単かもしれないが……実行しようとすると、とても困難な物。身をもってそれを実感しながら、それでも、これで良いのだとサンドロックは目の前にいる的を見据えた。
宇宙に上がるという、カトルの言葉は正しい。コロニーの人間は知らないだろうけれど、OZはコロニーを盾に取ってまで自分たちの動きを押さえた相手だ。それだけでなくて、自分たちを嵌めて連邦の平和論者を消してしまった相手だ。
こんな相手に、自分たちの『故郷』に手出しされてなる物か、と。
そう思うのは何も、パイロットたちだけではない。
たとえ、誰に理解されなくても。
ただ……悲しいとは思う。同時に仕方ないとも思うから、どうしようもない板挟みの中にたたずむしかないのだけれど。
『サンドロック!こっちは積み込み終了した!』
「そう……」
通信で送られてくるデスサイズの声を聞いて、本体稼働中に精神体がしまわれる場所……黒の小箱の部屋の中、宙にたゆたいながら改めて敵を見やる。
カトルも言っていたけれど、もう、自分には攻撃手段というものがない。自爆以外には。となれば、他のメンバーが宇宙に上がることを第一に考えているらしい自分のパイロットが、選び取ってしまう行動など考えるまでもなく一つだろう。それを思ってうっすらと笑う。まさか、自爆実行者の二人目が自分になろうとは。
正直、とても痛いだろうから自爆なんてしたくない。そんなことをしてカトルが無事であるとも思えないし。
躊躇う気持ちはある。
それでも……それをパイロットが決めたのならば、自分は口出しする事は出来ない。
「じゃあ、二人とも宇宙で頑張ってね」
『…え?お前は?』
「僕はカトルに付き合うから。僕は死なないしね、後で追うよ」
『自爆、か?』
ナタクの言葉にそうだよ、と頷く。
それから、とても残念な気持ちに襲われた。出来ることなら本体のままで全員宇宙に、というのが理想型だったのだけれど。所詮理想は理想と言うことだろうか。肩をすくめながら、それでも四人はあがれるのだから良い方だろうと結論づける。
だから、デスサイズが、ナタクが何か言いたそうな表情をしているのも気にしないことにした。二人だって自爆がどれほど大変な物かは知っているだろうし。それを置いておいても、一人かけたまま宇宙に、というのは彼らにとっても残念でしょうがないことに違いない。そう思うと、何だか自分が仲間に恵まれているのがちゃんと分かって嬉しくなった。
ひらり、と手を振って、二人に微笑みかける。
「ほら、もしかしたら修理してくれる人もいるかもしれないし。ウイングの時みたいに」
『…それは、そうだけれど』
『……分かった。俺たちは先に行く』
まだあきらめが付かない様子のデスサイズとは対照的に、ナタクは直ぐに気持ちを入れ替えたらしい。こく、と頷いて通信を絶った。
何か以前以上にさっぱりしているなぁと、会わなかった数ヶ月間を思って逆に呆れた。ここはもう少しくらい惜しんでくれても良いのではないだろうか。彼らしくて、これはこれで良いのかもしれないけれど。
「ほら、デスサイズも通信切って。どうせ後で会えるんだから、ね?」
『…絶対だからな』
「うん、分かってるよ」
『……じゃあ、後で、な』
最後まで念押しのように言って、それから切られたもう一つの通信、それと同じくらいの時間に自爆のスイッチが押されたのを感じる。そして、同時に感じるのは何らかのプログラムの発動。
何…?と、とても奥にあったそのプログラムを探り当て、観察して……苦笑した。
「H教授、中々良い物を入れてくれてるじゃないか」
それは、自爆スイッチが押されたら発動するプログラム。カトルを下ろしてから、自分だけが自爆して敵を一掃できるプログラムだった。
どうして自分にまでこのプログラムを隠していたのかは知らないけれど……いや、どうせ間際になって驚かせようとか、そういう思いでもあったのだろうが、とにかく今回は感謝しよう。お陰でカトルは生き延びる。
この機に乗じて勝手に自分の好きなように動こうかと一瞬考えたのだが、流石にそこまでは許してくれないらしい……体の自由がきかなくなっている。ここで勝手に動かれては全てが台無しと、そういうことか。この手回し……『生まれた』ときからずっと一緒にいたH教授だし、こう言うときに自分が何をしようとするかは理解しているのだろう。
だてに長生きはしていないのだな、と思いながら、遠ざかっていく…正確には自分が遠ざかっているのだけれど……カトルの姿を視認する。
「…じゃあ、カトル」
口の端を緩く上げて、呟く。
「自爆の痛みが引いたら僕も宇宙に行くから。精神体だけでも、ね」
さっき、デスサイズとナタクとも約束したし、言葉を交わしてはいないけれど話を聞けばウイングやヘビーアームズも同じようにもうだろうし。
また後で、と言葉を零して。
そして。
自爆、おつかれさまでした。
…おつかれさま、というのも何か違うかも知れませんが。
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