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ドラマCDっぽく何かできないだろうかとふと考えた末。
とてつもなく私の趣味というか、やりたいこと前回の話が出来上がりました…。
全部刹那視点です。
目を、開く。
すると、そこは見事に別世界だった。
突発的仮想物語 1.序
「……」
刹那は、ベッドから起き上がって状況を確認するべく記憶を辿る。
確か、昨日は介入も何もない状態で、マイスター全員がトレミーの中で体を休めていたはずだ。それに、トレミー自体が宇宙の中にあって、自分たちは艦内から外へと出ることは出来ない、はず、なのだ。
それが今。
どうしてだか、刹那は見知らぬ部屋の中にいるのである。
おかしい。どう考えても有り得ない。
これは一体どういうことかと首を傾げ、数秒後、ただ一つだけの不可能を可能にしている機器について思い出した。
「仮想シミュレーターか…」
それしか、現状についての説明を付けることが出来る物は、無い。
しかしそうなると、問題はどうして自分が仮想空間の中にいるのかということである。昨日は間違いなく、自室で眠った。そのくらいは断言できる。だが、このようば場にいるということは仮想シミュレーターを使ったということであって。
それでも残念ながら、刹那にはそれを使用したという記憶がないのだ。
妙な話だと、ベッドから降りて改めて自分について確認する。
自分は、刹那・F・セイエイ。CBのガンダムマイスターで、搭乗機は……搭乗機、は。
そこまで思い、刹那は、固まった。
「……思い、出せない?」
有り得ないと頭を振って、再び思い出そうとしても結果は一緒。どういうわけだか機体の名前が浮かんでこないのだ。搭乗機の、愛機の姿は浮かんでくる。ガンダムという存在も確かに頭の中にあるのだが、固有名詞だけが一向に思い出されない。
これは、ゆゆしき事態だ。
自分が、どれ程までにガンダムに対する気持ちを強く持っているかを刹那は知っていた。だからこそ、この状況は大いに有り得ない事態。
けれどもそれが起こっているのもまた事実。
となれば。
「そういう設定、なのか…?」
試されたことも試したこともないが、仮想というからにはそのような『記憶を封じる』事も出来るのではないだろうか。仮想というのはつまり、現実ではない状況を生み出すと言うことだから。
考えられないこともない。そう思いながら刹那は立ち上がり、部屋から出るべくドアの方へと向かった。
見たところ、ここは何かの簡単な寮であるようだ。多分あのドアを開けたら廊下か何かに出るだろう。そうして外に出て、まずは情報収集を行う。
そう決めて、ドアノブに手を伸ばし。
がちゃ、と。
「刹那!刹那いる!?」
刹那が開く前にドアは開いた。
「……アレルヤか。どうしてここにいるんだ?」
「それは僕も訊きたいけど…あぁ、とりあえずこの記憶は間違いないんだ」
「…?どういうことだ?」
走り込んできたアレルヤに問うように視線を送ると、あ、というような表情を浮かべて、それからアレルヤは少し赤くなった。
「ご…ごめん。勝手に話進めちゃって」
「気にしない。それよりも?」
「あ…あぁ、そうだね。何故だか知らないんだけれど、記憶が少し封じられて…」
「それは分かる。それから?」
「どうやら、有る程度の『設定』が上書きされているようなんだ、この世界で」
「設定?」
言われて、少しばかり記憶を整理してみて。
「……あぁ、確かに」
今まで、知り得ていなかった記憶が確かに、ある。
そしてその記憶曰く、自分は学校の教員らしい。目の前にいるアレルヤも、今はいないティエリアも、ライルも学校で働いているようで、その学校というのが何とも『素晴らしい』学校であるのだということも、分かった。
ただ、そのような親切よりは事情説明の方が欲しい。
このまま、生活をしてみれば分かるのだろうか。刹那は思い、目を閉じた。
そんな感じで始まります。