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いなくなった二人の真実。
…というか何というか。こう言うとシリアスなんですけどシリアスではないです。
目標はあくまでドラマCD。




突発的仮想物語 7   真相


「…見つかっ…た?」
「というか帰ってきたぜ、アイツら、勝手に」
「どうやら施設の外に無断で出ていたらしい」
「ったく…紛らわしいんだよ」
「でも、大事がなくて良かったね」
 それぞれが思い思いの感想を言う中、刹那だけは、いや……刹那とケルディムだけは、何となく釈然としない思いを抱いていた。無断で出ていた彼らを、武士仮面の所に行くという危険を冒してまで探していた自分たちの行動がバカらしく思えてきたのである。
 だがまぁ…大事がなかったのは、良かったのだろう。
 そこだけでも良かったと言うことにしておこうかと思い、手にケーキの入った箱を持っているダブルオーを見やる。
「どうして勝手に出た?」
「どうせ、許可は得られない」
「…というと?」
「たかだか菓子を買いに行く程度の用事で、この施設が外出許可を出すとは思えなかった、ということだ」
 ティエリアの問いにセラヴィーが答え、はぁ、と息を吐いた。
「全く…少し、設定がきつすぎたか」
「設定?」
「いや、こっちの話だ。気にするな」
 何でもないのだと、セラヴィーは続けて首を振った。しかし状況が状況である以上、刹那たちにはそれを鵜呑みにすることなど出来なかった。当然だろう。自分たちは、どうして自分たちが仮想空間にいるのかという事を探り続けているのだ、今でも。
 そして、セラヴィーが仄めかすような言葉を口にしたとなれば。
 答えは、一つ。
「それは無理だな」
「そうか?」
「あぁ。我々はどういうことか説明を求める」
「ティエリアも、か。ということは残りのお前たちも?」
「俺を『残り』なんて括りに入れるたぁ良い度胸じゃねぇか、あぁ?」
「ハレルヤ!ガンとか飛ばさないで!」
「うーん…ま、こんなだけどそれで合ってると思うぜ?」
「そうか……そうだよな」
 どこか観念したかのように、ケルディムが呟く。
 それから頭を掻いて、諦めた表情で口を開いた。
「まず、謝る。勝手に仮想空間に連れてきたのは俺たちだ」
「目的は?」
「コイツが」
 と、どこか萎縮してしまっているアリオスを親指で指し示し、彼は苦笑した。
「少しで良いから直接、話してみたいってな」
「…僕だけの意見じゃないもの。ちゃんとみんな同意したじゃないか」
「だがキッカケはお前だろう、アリオス」
「うぅ……」
 セラヴィーに呆れの視線を向けられ、さらに落ち込んだ様子を見せるアリオス。
 呆然とそんな彼らの様子を、刹那は眺めていた。
 仮想空間に連れてきたというのは本当なのだろう。だが、彼らが言っている『直接話しがしたかった』というのが分からない。それはまるで、いつも会っているかのような響きを持って口から言葉として出されているようだったから。
 だが、刹那には彼らと会った記憶がない。
 こんな個性的な面々を、一度でも見たら忘れはしないと思うのだが。
「…訊くが、お前たちという存在に関して何か俺たちに規制はかけたのか?」
「規制?…あぁ、制限のことか。一つだけ、かけた」
 それを知られていてはどうしようもないから、と。
 ダブルオーは言って、ふ、と笑った。
「まぁ、どうせ夜が明ければ分かる」
「…夜が、明ければ?」
 アレルヤが訝しげに問い返すのに、セラヴィーがこくりと頷く。
「そういう『設定』で機械は動かしている、ということだ」
「だからその…最後だし、仮想空間の中でも一緒にお菓子とか食べれたらなって、そういえば言い出したのは僕なんだけれど」
「裏目に出たな。ここまで裏目とは意外だった」
「や…俺は、お前らがあの言葉を真に受けて、本当に買いに行ったってことが意外だったんだけどな……行くなら最初に言えよ」
 わいわいと。
 始まった四人の会話の和の隣で、刹那は笑んだ。
 徒労だったようだし、全ての犯人がそもそも彼らだったらしいが、そんなことはどうでも良いと思えてきていた。ただ、彼らは悪い相手ではないという事実だけ、あれば充分だ。






次で最後です。もう少し付き合ってください。
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