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……何かいつもと雰囲気違うんですけど。
「ねえ、どうして剣はあるんだろう?」
突拍子もなくこんなことをいいだすものだから、俺は呆れて半身を見た。
『人を殺すために決まってんだろ』
何故なら武器とは人体を、あるいは形ある何かを破壊するために作られたものだから。
このくらい、この半身だって分かっているはずだ。身をもって知っている。
だというのに、一体どうしたというのだろうか。
『で、どうしたんだよ』
「いや……剣で人を助けることはできないのかなって思って」
……あぁ、そういうことか。
俺は一人、納得した。
悲しげに微笑んでいるこいつは、いまだに人を殺すことに躊躇いを感じているのだ。
いや……躊躇ってはいないのかもしれない。ただ、救いたいと思っているだけで。
甘い、と思う。どうしようもないほど。戦場で生きるしかできないくせに、と。
だが、こういう性格だからこそ、この「俺」が必要となったのだろう。
『できるかよ、そんなこと』
冷たく突き放すように、俺は答えた。
『助ける以上に殺してんだ。それで「救い」なんざ、偽善以外のなにものでもねぇ』
「……そう、だよね」
そう言って、半身は目を伏せた。
いい加減、諦めたのだろうか。
それは間違いなく無いと思いながら返答を待つ。
「でも、一人でも多く救えたらいいなって、思うんだ」
まったく俺の予想と違わないその言葉に苦笑する。
こいつは、これでいい。このままでいてくれたらいいのだ。
汚いことはすべて俺が引き受ける。それでいいのだから。
それこそ俺の存在理由で、俺の存在目的で、俺の存在意義。
なにより、それを俺が望んでいる。
『そう言うと思ったぜ。好きにしろよ。どうしてもって時は、俺が何とかしてやる』
「うん、ありがとう……」
たとえお前が望んでいるそれが、どれほど自己満足な願いでも。一見なんでも無いようにに見えて、お前の存在理由を考えれば、実は何よりも歪んでいる思いであっても。
それでも俺はお前と共にいる。
何があっても、ずっと。
このサイトが始まる前に書いたのを、ちょっと手直ししたヤツです。
うん、毛色が違うなぁ……