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今回は、乙女座センチメンタリズムな彼。
「心奪われた存在がいるのだが」
―――えっと……それは、私にどんな反応を求めているんでしょうか?
「何でも構わんよ。私は別に気にしない」
―――そうですか?あ、そうだ。最初に一つ、言っておきたいのですが。
「ん?」
―――そういう系の…多分、恋愛系の質問は、最近上手に返せないです。というか、その他の質問にも。近頃のはレベルが高くて……。それでも良い、というならば話し相手にはなりますが。
「望むところだ、と言わせてもらおう」
―――さっきの『心奪われた』といい、何だか凄い言葉遣いですね。
「そうか?これが私の普通なのだが」
―――周りの人の苦労する姿が見えるようです。それから、初対面の人の戸惑う姿も。
「そういえば、親しい友人にも直せ、と言われているな」
―――友人さん、さぞ大変でしょうね……。
「この前、ドーナッツを渡したら『気にしないでいいよ』と言われたが」
―――そうですか。その人、結構単純ですね。
「頭はいいぞ。だが、怒ったらドーナッツ一箱で許してくれることが多いな」
―――ノーコメントで行きます。それでは、いい加減相談に行きましょうか。心を奪われた、とは訊くまでもないですがどういう?あぁ、理由を聞かせてくれたら嬉しいです。
「素晴らしい能力を持っていたのだよ。俗に言う一目惚れというやつだ。現段階の我々では彼らには手の出しようもない。それほどに圧倒的。どうしてその存在が心に刻まれないだろうか?出会ってからずっと、私は彼らを追い続けているのだよ」
―――あの、彼らって言うのは?というか、恋愛感情じゃないとかですか?『心奪われた』というからてっきり、そっち系かと……。
「一つめの質問は簡単だ。その存在は複数いるのだよ。二つめの質問には……何を言っているのかと言わざるを得ないな。愛しているに決まっている。例の友人には『メロメロ』と形容されたほどだ」
―――はい、分かりました。二つめの問いで、変な勘違いをしてしまって申し訳ございません。間違った私が大馬鹿ものでした。以後、同じ過ちを犯さないよう気をつけます。
「何もそこまで言うことは無いと思うが」
―――いいえ。『メロメロ』とまで言われているのに……ハッキリと分からなかったなんて、不覚以外の何者でもないです。
「それは……相談員としてのプライドか?」
―――そう取っていただいてもかまいません。
「そうか……」
―――話を戻しましょう。で、貴方は彼らを一体どうしたいのですか?
「できれば、正々堂々と一対一で決闘を申し込みたい。時代錯誤と言われようが、それが私の偽らざる本心だよ。それから、できれば……捕らえたいとも思う」
―――は?捕らえ……?
「人でなく物だからな。法には触れんよ」
―――はぁ……いや、でも人の物だったりしたら?
「そこも問題は無い。持ち主達も、そうされても仕方がないことは分かっているだろうからな。そうでなければあのような物、所持は出来ないだろうな」
―――自分の有利な場所へおびき寄せる、というのはどうでしょう?それなら……。
「生憎だが、それは以前もやった。結果は今の私の相談内容からでも、容易に想像がつくだろう?」
―――失敗……ですか。
「彼らは手強い。だからこその、この感情だが……どうすれば良いだろうか?」
―――そう……ですね。弱みを握るというのも手かと。強い相手への常套手段です。
「…君もなかなか言うな」
―――それほどでもないです。で、心当たりは無いのですか?
「残念だが、今は見つかっていない。活動限界も分からないし、汎用性も高い。そんなものは存在しないと、言うことはまず無いだろうが……見つけるのは困難だろうな」
―――やっぱり、私は役に立てませんでしたね。
「いや、話を聞いてくれただけでも十分だ。こんなこと、私の周辺にいる皆に言っても『またか』という顔をされるだけだからな」
―――良く解ります、それ。
「そうか?……まぁ、礼は言わせてもらおう。失礼する」
―――またのご利用をお待ちしております。
相談員さんが、酷く不憫ですね……。