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この人たちはあまり書かないから、ちょっと難しいです。
52:石
朝。というか早朝。
暇、と言うのとは違うのだが……エアマスターは、正直時間をもてあましていた。何せこんな時間帯だと誰も起きていない。もしかしたら起きているメンバーはいるのかも知れないが、少なくとも同室のメンバーは誰一人として起きていなかったし、恐らく起こそうとしても起きようとしないだろう。特にエックスとか。
どうしてレオパルドだけいないのだろうかと思いつつ、ベッドから降りて窓へと向かう。そこには未だにカーテンの布があって、そこから通り抜けるように光が淡く部屋の中を照らしている。
ふと、このカーテンを開けば起きるかとも思ったが、そんな簡単にいくことはないだろうと考え直した。布団の中に深く潜り込むのがオチだろう。
だから気兼ねなくカーテンを開けることも出来るわけで。
エアマスターは、躊躇いなくカーテンを開いた。
そうして。
「…」
一瞬、もう一回閉じようかと思った。
結局それはしなかったが、代わりに窓から見えるその風景に頭を抱えた。何をしているかは見れば分かるのだが、大会前なのだし少しくらいはダメージを減らしておこうとか思わないのだろうか…思わないのか。
少々のダメージなら、どうせ彼らは気にすまいが。
しかし、それはあくまで彼らにとっての少々。
生憎とそれは自分たちの言葉ではそこそこ重傷と言うのだ。
……せめてもの救いは彼らにも『瀕死の重傷』という言葉の理解があると言うことだろうか。もしも無かったら色々危なかったかも知れない。主に彼らではなく自分たちの方が。
しかし…どうすればいいのかこれは。どうしようもないのだろうが。
どうせやることもないのだし、ならば彼らの修行の様子でも見ておけばいいだろうか。見ていても楽しいことはないだろうし、むしろハラハラとさせられることの方が多いのだろうが、何もしないよりは暇は潰れるだろう。
にしても。
見た瞬間から思っていたのだが。
「…あの石はどこから」
宿の庭部分で修行をしているのは考えるまでもなくゴッドとマスターなのであるが、問題はその修行方法であると言えた。
何せ、マスターが投げる石…というか岩を、ゴッドが素手で殴って破壊しているという修行方法だったのだから。本来ならともかくとして、今の人間の姿で素手で岩を殴るというのは、あまり良いこととは思えないのだが。しかし、血が出ていないし案外平気そうだから彼らは大丈夫なのかも知れない。
もっとも、だからといって他のが大丈夫とは限らないし、思う気もない。
彼らが特別すぎるのである。
「エアマスター…何見てんだよ」
「あぁ、起きたか」
「ん。おはよう。んで?」
起きてきたエックスに庭の方を示し、肩をすくめる。
「修行中であるようだが」
「へぇ…ってうわ」
「一体いつからあんな事をしているのか全く分からないんだが」
「結構前からだろうぜ…あれ、手とか痛くないのかよ。テーピング無いんだけど」
「それはオレも思っていた」
「…痛くないんだろうな」
「…十中八九な」
あの程度で痛いなどと言うような相手ではないだろう。先ほどの判断のこともある。
それよりは岩の出所が気になるのだが。
だが生憎とそちらは気にしなかったらしいエックスは、窓は流石に開けないままに身を乗り出して下を見下ろした。
「ていうかさ、これって俺たちの出番って無いんじゃないか?戦いも全部あの二人が全部やっちゃいそうだしさぁ」
「それは思うが…」
「でも他にも何人か出るって話だけど。俺たちどうする?」
「とりあえず見物でもしておけば良いんじゃないか?」
宿でずっと待っているというのも何とも言えないし。
そう言うと、彼はこくりと頷いた。
「やっぱそうだよな。じゃあそうしようぜ」
「お前…自分の意見は?」
「ん?や、ちょっと悩んでたからエアマスターの結論が丁度良い感じ」
「…そうか」
エアマスターは常識人、ですよね?
ていうか…ゴッドちゃんとセリフとか書けてない…ちゃんと書きたい…。