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描写お題も久しいですね。
084:誘惑に攫われ
「…しまったわ」
「どうしたの?」
「ついつい、買う予定の無かった物を買ってしまったのよ。ほら」
奈々は、買い物袋から一つの箱を取り出し、フゥ太に見せた。
それを見て、フゥ太はぱぁと顔を輝かせた。
「これクッキー?」
「えぇ。でも、本当は買うつもりはなかったのよねぇ…」
「そうなの?」
「だって、まだお菓子の買い置きは残っているの」
沢田家の最近の子供率はそれはもうとてつもないことになっている。昔は綱吉だけだったのに、今ではリボーン、ランボ、イーピン、フゥ太まで加わっている。それに子供ではないけれどビアンキもまた、いることもあって。
こうなると、どうしても菓子は入り用だ。
だから絶やさないように気をつけると同時に、買いすぎないようにと注意している。あまりたくさん買ってしまうと、子供たち…特にランボは、次々と明けて食べてしまうから。菓子の食べ過ぎはあまり体には良くないのに。
他に何か違う物を買っていないかと袋の中を漁ると、それ以外は何もない。
ほ、と安心してからふとフゥ太の方を見て、奈々は目を丸くした。
「あら…開けちゃったのね?」
「う……ごめんなさい」
「良いのよ。お腹が空いていたんでしょう?」
クッキーの箱を開けてしまっていたフゥ太の頭を軽く撫で、奈々は優しく笑んだ。
「丁度良い時間だから、おやつにしましょう」
「…!僕ね、今日はオレンジジュースが飲みたい!」
「大丈夫、ちゃんと今日、買ってきたわ」
「わぁ…ありがとう!」
「どうしたしまして。…さぁ、ランボちゃんたちも呼んできて頂戴?」
「うん!」
元気よくリビングから出て行くフゥ太を見送って、奈々はガラスのコップを出すべく食器棚へと向かった。
この人にはほのぼのが似合うと思うのです。