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二期が始まるまでには一区切りを……
チビスターズ第一話 ⑪
いつまでも、どこまでも続く言い合い。
それを止めたのは意外な人物だった。
いや……人物と言っていいのかよく分からないけど。
でも、とりあえず、それを止めてくれたのは。
「ケンカ、ヨクナイ、ヨクナイ!」
オレンジ色の、ロックオンの相棒。
ハロ……だった。
彼はころころと争いの場、その中心に転がっていったかと思うと、いつも以上に元気よく跳ね出したのだ。
その突然の行動にみんなは驚いて、止まった。
「ミンナ、ミンナ、ナカヨク、ナカヨク!」
それでも跳ね続けるハロの所に行って、アレルヤが彼をギュッと抱いてやるところでようやく、みんな我に返ったらしい。
まず、フェルトがハロを取り上げた。
それから、それをロックオンが受け取った。
クリスティナは自分に抱きついてこようとした。
けれど、ティエリアがそれを阻んで。
刹那はこちらにこようとしたけど。
ハレルヤが襟首をつかんで。
……これだけのことが、一瞬で謀ったように同時に起こったのだから、それはなんだか凄いことだと思う。いつもバラバラな仲間たちなのに、行動はそれぞれ違うけれど、タイミングが全くもって同じだった。
本当、どうしてここまで一つになっているのだろう?
きっと、スメラギさんには全部分かっているんだろうな……訊いても、教えてくれないだろうけど、絶対に。彼女にはそういうところがあるから。
とりあえず、こういうこと以外でも団結して欲しいのだけれど。
「贅沢な望みかなぁ……?」
「…?何か言ったか?」
小さく呟いたつもりだったけど、ハレルヤの耳には届いたらしい。
聞き返されて、首を振る。
「何でもないよ」
まさか、思っていたことをそのまま言うわけにはいかない。
言ったらとても素晴らしい反論の波が来そうな気がして、それがちょっと……。
さっきのみんなの行動のタイミングと同じくらい、いや、それ以上の纏まった反撃がくるだろうから……それは、かなり怖いと思う。
幸い、ハレルヤは深く追求してこなかった。もしもされていたら、隠し通せなかった。彼に勝てたことはないから、今回も多分。つまり、危なかったというわけ。
ホッとしながら、何か大切なことを忘れているような感覚に襲われた。
何だったっけ……?
少し考えて、気づく。
そういえば、明日のミッションの話を最後まで聞いていない。これはちゃんとしておかないと、後で問題があるかもしれない。
くるり、と体の向きを変えて、スメラギの方に行く。
「どうかした、アレルヤ?」
「スメラギさん、明日のミッションって、具体的に何をするんですか?」
「いつもと同じよ。紛争に介入するだけ」
「どこの?」
「ユニオンの領土よ」
よかった…人革連ではないようで。
超兵の問題は、まだ解決していない。
今回キュリオスに乗るのはハレルヤだから、アレルヤの時みたいな問題は起こらないと思うが……それでも心配なものは心配なのだ。
「詳しくは後で伝えるけど……安心した?」
「はい、とても」
微笑んでみせると、彼女も笑いかけてくれた。
「安心したところ悪いけれど、買い物のことを忘れていないかしら?」
「……………あ」
「楽しみにしていなさい?」
「できませんよっ!」
「そうだ、どうせならフェルトとクリスティナも連れて行きましょう!」
「え!?スメラギさん、それ本気ですか!?」
「もちろんよ!楽しみだわ~」
「………誰か助けて…」
楽しそうだね、スメラギさん……