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とりあえず全四話になってる感じ。
「…おー」
『起きたか』
「…何で俺、生きてんだ?」
あんまりな第一声に、セルティは息を吐いた。もっとも、顔が無いので吐き出したのは影であったのだけれど。
とりあえず…目を開けたものの体を起こそうとしない、現状を呑み込み切れていない友人に現在に至るまでについての説明する事にしよう。
『仕事帰りに気まぐれで、いつもとは違う道を行ってみたら倒れている静雄を見つけた』
「ふーん……ん?けど、俺が意識失ったのって凄い路地裏入った所だったような気が…」
『そうなのか?私が見つけた時、お前は路地ではあったが大通りに近い場所に倒れていたぞ?だから見つける事が出来たんだ』
「俺の覚え違い…?」
『あるいは誰かが運んだんだろう。心当たりh』
「ねぇよ」
『そうか』
キーを打つのを遮るように口を開かれたが、大して気にもせずに言葉を続けることにした。否定したということは、心当たりは無いのだということだろう。ただ、単なる否定にしてはあまりに速すぎた気がしたけれど、あまりそれには触れない事にする。きっと言いたくない何かなのだろうから。
それでも自分で勝手に考える分には自由なので、思考をくるりと巡らせてみる。
傷が全て刃物で切り裂かれたものだった事や、生きている事に首をかしげていた事、そして何より彼が『平和島静雄』であることから、争っていたのは臨也であろうことは推測以前の問題で分かった。池袋最強にリーチの短い武器で迫って傷を負わせる事が出来る可能性なんて、そう滅多に存在しない。
故に、心当たり、なんて言われた時に犬猿の仲の相手の顔が浮かんだのだろう。その戦闘の場に二人以外がいたというなら話は別だが、あの即答の事を考えるとやっぱり『心当たり』は情報屋以外には考えられなかった。
と、そこまで考えてセルティは訝しく思う。
静雄ではないけれど、ならばどうして静雄は『生きている』のだろうか。
臨也がとどめをさす事をさすことを躊躇うとは考えづらい。だから見逃したとしか、この場合は考えられないけれど。
ならば一体それは何故。
『ところで、静雄』
出口が見えない思考を一旦閉じて、セルティは頬にガーゼを張っている友人に伝える。
『腹は空いていないか?もう、時間帯としては昼間なんだが』
「あー…今はいい。ってか仕事行かねぇと」
『それは新羅が連絡して、今日は休みにとしていたぞ』
「…まぁ、こいつが剥がせねぇならそっちの方が良いか」
ガーゼに軽く触れて、ようやく静雄は体を起こす。
その際に眩暈でも覚えたのか、忌々しそうに目を閉じた。
「…クソ。そういや血も足りてねぇんだったか」
『それだけ出血してよく生きていると新羅が言っていたぞ。切り傷もあらかた治ってしまっているし…相変わらず凄い奴だな』
「そうか?俺からしたらそっちの方が凄いけどな」
『世辞は止めてくれ』
「いや、本気だって、本気」
心の底から思っているのだと言わんばかりの表情を浮かべられ、そんな事を言われたら悪い気はしなかった。
若干照れながら、文字を打つ。
『…ならばその言葉はありがたく受け取っておこう。…あぁ、そうだ。これも新羅からの言葉なんだがな、伝えておこう』
「何?」
『頬の傷は他よりかなり深かく切られていたから、静雄でもあと二日くらいは残るんじゃないかということだ』
「…どんだけ深かったんだよ。てかノミ蟲に顔刻まれた覚えねぇんだけど」
喧嘩の相手はやっぱり情報屋だったらしい。
どうだったかなー、と呟きながら腕を組んで考えだした静雄だったが、直ぐに額に青筋が浮かべた。嫌な事を思い出してしまったようだ。
そうなったらもう、こちらからは何も言いださない方が良い。
緊急退避…と言っても今の彼はろくに暴れる事も出来ないだろうけれど、とにかく席を立つことにして、セルティはPDAに文字を打ち込んでからそれを彼に見せる。
「昼飯持ってくる?…いや、だから今は良いって」
『食べるものを食べないと本調子に戻らないぞ。そんな状態で』
その後の言葉を打つ事を一瞬止めようかと思ったが、まぁ大丈夫かと続ける事にした。
『臨也に会ったらどうするつもりだ?』
「……分かった」
憮然とした表情で、それでも意見を反した池袋最強を見て。
こういう時なら情報屋の名前を出すのも良いなと、都市伝説が思った瞬間だった。
何事も使いようって事で。
…ていうかあれですよね。静雄とセルティの仲良いのって、和みますよね。
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