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読んでいたら、結構怖いと思います。
04.午前2時
「……ねぇ、ティエリア……」
「何だ?」
ここは、地上。
次のミッションのために待機中のアレルヤとティエリアは、待機場所であるマンションにおいてあった各々の本を手に取り、暇を潰すために読書をしていた。
先のアレルヤの発言は、読み終わった本を横に置いたときに見えた、ティエリアの本の背表紙のタイトルが目にとまったが故のものだ。
「……その本って…」
「あぁ、これか。以前、書店で見つけたんだが」
「………いや、別に手に入れる経緯とかじゃなくて…」
しおりを挟み、ティエリアは本を閉じた。
その行動で、下を向いていた表紙がより見やすくなる。もちろん、タイトルも。
そこには……
「あのさ、その本って一体何」
「タイトルを見れば分かるだろう?」
「見て、分かりたくないから言ってるんだけど……」
そこには『世界の呪い全集』とあった。
……正直、ティエリアがそれを読んでいるという事実が、物凄く恐ろしく感じられるわけだ。まさか、彼が実行するわけはないが、雰囲気的に何か。
ため息を吐いて、彼の手から本を取る。
「この前は『拷問の歴史』だったっけ……」
「良く覚えているな、アレルヤ・ハプティズム」
「……忘れたくても、忘れられないよ」
パラパラと捲ると、先ほどティエリアがしおりを挟んだ所が開かれた。
そこは日本の呪いの特集で、藁人形の作り方、丑の刻参りとかいうものの注意点、呪いが成功したらどうなるかなど……しっかりと、分かり易い解説と、カラーの図つきで記してあった。
これを購入した動機は多分、ちらりと見て興味を抱いたとか、そういう所だろうが……できれば、興味を持って欲しくなかった。
「もっと、普通の話を読もうよ」
「つまらないから却下だな」
にべもない返事。
苦笑して、アレルヤは本をティエリアに返す。
「でも、こういうのよりは良いと思うけど」
「個人の嗜好の問題だ」
「それはそうだけどさ………」
「ならば問題はないはずだ」
とんとんと言葉を返してくるティエリア。やっぱり、彼に口では勝てそうにない。それ以外でも、勝てた記憶は皆無だが。
勝つ気もないけど、と思いながら、新しい本に手を伸ばす。
それを開きながら、ふと頭に浮かんできた疑問。
「ねぇ、ちょっと訊きたいんだけど」
「ん?」
「それって、効果あるのかな?」
それというのは、丑の刻参りの事だ。
効果があるから載っているのか、単に有名だから載っているのか。
果たしてどちらだろうと考えながら、ページを捲ろうとした、その時。
「無いんじゃないか?少なくとも、刹那・F・セイエイには効果がなかった」
「……え」
思わず手を止めティエリアの方を見るが、彼はすでに読書を再開しており、声をかけるのは憚られた。
……そういうわけだったので、アレルヤは、さっきの言葉は聞かなかったことにした。幸い、ハレルヤは眠っていて聞いていないから。
いつやったんだろうね……
やらないとは思うけど……やってたら、マジで怖いです。
そりゃもう、雰囲気がやっぱり。