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来神時代のお話です。いざやんは出ませんよ。折原さんはでますけど。
「……ここがノミ蟲の家か…」
いつもの様に臨也に嵌められていた静雄は。
今日、初めて彼を追いかけるのではなく待ち伏せる、という作戦を取ろうとしていた。
住居がどこにあるかについては、新羅に訊いてみた。中学生の時に同じ学校だったと言うから知っているかもしれない、程度の考えだったのだけれど……というか、知っていたとしても素直に教えてくれるとは思わなかったのだけれど……あの友人は尋ねたらいとも簡単に答えてくれた。
だから、場所を知る事が出来た。拍子抜けするくらいにあっさりと、一応友達だろうにそれで良いのかと思ったりしながらも。そしてそれは…良いのだけれど。
「…………どうやって家に上げてもらったら良いんだよ」
実は割と行き当たりばったりな今回の作戦だ、そんな細かいことを決めていなかったツケがここに来て祟ってきた。
臨也の家で待ち伏せて、殴る。それだけの大雑把な計画ではまずかったかと反省しつつ、ではこれからどうしようかと考える事にする。
まずはイン二―フォンを鳴らして…それから、何を言うべきだろうか。
『折原君の友達です』……ダメだ、想像しただけで鳥肌が立つ。
『いつも折原君にナイフを向けられている者です』…そうハッキリ言うのもどうだろう。
『折原君の知人です』……正直、臨也に対する君付けも嫌だったり。
最終手段・強行突破……はマズイ。臨也はともかく、その家族に罪はない。
…考えたら余計にどうしたら良いか分からなくなってきた。
「……どうすりゃいいんだよ…」
静雄は思わず頭を抱えた。折角ここまで来たのに、門の前にずっといたら……殴る事も出来ないままに普通に臨也に逃げられてしまう。それに、臨也の家族にも迷惑になってしまうだろうし。
だからといって諦めると言うのも癪だし…
「あれ?お客さん?」
そんな風に結論が永遠に出そうもない思考の迷路で迷子になってると、不意に聞き覚えの無い声が背後から聞こえた。
何なのかと振り返ると、そこにいたのは二人の小学生だった。
お客さん、という言葉から彼女らは臨也の妹なのだろうと推測する。それと、顔が瓜二つだから……多分、双子なのだろう。
そこまでは、流石に自分でも分かった。
が、どんな反応をしたらいいのか迷う。普通に血で血を洗うような関係だとか、彼女らに喋ってしまっても良いのだろうか。…マズイ気がするけれど、やっぱり『友達』なんて言う事は出来そうにない。
結構本気で悩んでいるこちらに構わず、彼女らのうちの片方……眼鏡をかけている方は口から言葉を放り出し始めた。
「見た感じ高校生だよね?ってことはイザ兄のお客さん?まさかとは思うし有り得ないと思うけれど、イザ兄のお友達だとか?それとも、もしかして、おにーさんが『平和島静雄』さんだとか?」
「…知ってんのか?」
「……ありゃりゃ、クル姉、もしかしてが本当だったよ」
「……驚……」
ちょっとばかし暗い空気をまとった彼女らのうちのもう片方がそうとだけ言って、首を傾げた。
「……謎…」
「だよね。不思議だよね。イザ兄の話が本当なら、静雄さんって普通にこんな場所に来るような事無いよね。だって殺し合い間近の喧嘩やってるらしいし」
「あー…いや、別に普通の用事で来たわけじゃねぇけど」
「え?じゃあ何で来たの?」
今更過ぎる問いを口にする彼女に、少し迷って、
「…ノミむ……臨也を待ち伏せに来たんだよ」
用件を素直に言った。
どうせ色々知られているなら、もう隠す必要も無いだろうと思ったのである。
まぁ…ちょっと問題かなとは思ったけど。
しかし。
「へー?イザ兄を?それで家に入りたいの?なら、別に入ってくれても大丈夫だよ!」
「は?」
「そんな不思議そうな顔しなくても良いよ。別に私たち、変な事企んでないし!っていうか、イザ兄は一回くらい死んだ方がいいと思うんだよねー」
「…是……」
「それに、静雄さんの方がイザ兄より好きかもだし!」
「…解……」
「…お前ら、臨也の妹なんだよな?」
あんまりな双子の反応に思わず問いかけると、片方は満面の笑みを、もう片方は全くの無表情を浮かべて口を開いた。
「うん、そうだよ?」
「…同…」
「……そうかよ」
二人の反応にそうとだけ返しながら、あぁそうだ、と思う。
彼女らは『あの』臨也の妹なのだ。
そんな双子が、普通であるわけがなかった。
そんなファーストコンタクト。
なお、九瑠璃の言葉について
驚……びっくり
謎……じゃあどうして静雄さんがここに?
是……確かに
解……納得
同……同じく
…みたいな感じで。
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