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拍手再録です。
~龍の憂鬱~
ご主人様曰く、僕はとても特別な存在なのだそうです。
オーダーメイドとかいうもので、世界に一つしかない、とてもとても貴重な代物なのだと、言われました。
いつも僕は褒められています。待遇も良い方なのだろうというのも、分かります。
しかし、僕は一つ文句を言わせていただきたい。
僕が不満を持っているのは、名前の読み方です。
僕の名前は『白龍』です。そこまでは良いんです。良いんですけど、問題はこの字の読み方なんです。普通に『ハクリュウ』って読めばいいのに、何を間違ったんでしょうね、『しろりゅう』なんて読まれてます。
お願いだから『ハクリュウ』って読んでくださいと、一体何回言おうと思ったでしょう。
しかし、言えないのです。だって、僕は、僕は……
人の言葉がしゃべれないのですから!
これが……人間と僕らの間に悲しくも横たわる隔たりなのですね。
「あ、白龍だー!」
我が身の不幸を嘆いていると、パタパタとご主人様の部下の人が駆けてきました。とても長い水色の髪が特徴的な、ご主人様を直接守るのだという六人の中で唯一の女の子です。
彼女と僕はそこそこ友好的な関係を結んでいます。ご主人様があまり僕を外へ出してくれないので出会うことは稀ですが、出会えば必ず二人でのんびりと過ごします。そして、僕は彼女に抱きしめられた状態で、彼女から他の部下の人たちの事を聞くのです。ご主人様の話とは少し違ったりして、それもまた面白いのです。
「でねー、あのバカったらさー」
お菓子をパクパクと食べながら、たまに僕に食べさせてくれながら、彼女は気に入らないのだというご主人様の部下の一人の事を、何度も何度も貶しました。
それってどうなんだろうと言われかねませんが、まぁ、いつものことですし、これはこれでお二人のコミュニケーションになっているようですので、良いんじゃないでしょうか。ケンカするほど仲が良いとも言いますから。
むしろ、ここまでくると、僕は彼女がその人を褒めだしたときが怖いです。
「まーったく、どーしようもないヤツだよねー。白龍も思わない?」
同意を求められましたが、僕にはどうも答えにくかったので首をかしげる動作をすると、「可愛いー!」とさらに抱きしめられました。
僕って可愛いんでしょうか…?
(2010/05/06)
(2010/05/06)
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