式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
長々としてしまいましたが、これにて完!
再び無人(なハズ)の校舎に入りこんで。
ついに綱吉たちは、最後の七不思議の元へと歩み始めていた。
「で、最後の七不思議なんですけれど……人が、壁に吸い込まれるんだそうです」
「……壁に?」
「また幻術オチじゃねぇだろうなぁ…?」
「分からないですけど…『生徒を吸い込む壁』、というのが七番目の七不思議です。ちなみに場所は、何故か雲雀さんが持ってたリボーンからの手紙に書いてありました」
「ふぅん」
手紙を持っていた張本人は気のない返事をして、めんどくさそうに欠伸をした。
……その頬やシャツに赤い物が付いているのは気にしない事にしよう。
「…ちなみに、その手紙には『粗相がないように』って追伸で書いてあったんだけど……どういう意味だろ?」
「…私は分からないけど…偉い人がいるとか…」
「壁の向こう側に?」
「……うん」
「だとしたら…リボーン、俺に壁に一度吸い込まれろって言ってんのかなぁ……言ってるよなぁ……」
出来ればそんな事になるのは嫌なのだけれど、避けるにはどうしたら良いだろう。
逃げる、というのが一番使える手だとは思う。けれど、それをするには遅すぎた。三番目や四番目あたりくらいまでなら数的にも大丈夫だった気がするが、流石に最後ともなると逃げ帰るという選択を選び難い。
それに、だ。ここにはスクアーロにクローム、雲雀までいるのである。ここで逃げようとしたら絶対に止められるだろう。最後の一つだろうが、とか言われて首根っこを掴まれたり、何で逃げるの?という視線をむけられたり、つまらない、と呟かれて攻撃を繰り出されたりとかして。
ある意味万事休すだった。
「まぁ…仕方ないか…」
諦めてそう呟く頃には。
綱吉は、例の壁の前まで来ていた。
「これが…話に出てくる壁、らしいんだけど」
「普通の壁だよね」
「幻術の気配も無いよ……?」
「……」
それは、何の変哲も無い壁だった。
本当にこれが?なんて思う綱吉にはピンと来るものは無かったし、雲雀もあまりに普通すぎて楽しくないといった表情を浮かべている。クロームだってどういうことだろうと首を傾げていた。
そんな中で一人だけ、スクアーロだけが訝しげな表情を浮かべていた。
「…スクアーロ、どうかした?」
「いや…何か妙な気配しねぇ?」
「幻術は無いよ……?」
「そーいうんじゃなくってよぉ……もっと曖昧な何かっつーか…?」
代わる代わる尋ねかける雲雀とクロームの声とそれに応える鮫の声を聞きながら、彼が妙だと言った壁の方を、綱吉はじぃ、と見た。何せ独立暗殺部隊自責の言葉だ、彼が何かあると言ったのなら九割方くらいは何かあるのだろう。
では残り一割はどうなのかと問われれば、まだ彼らの凄さを完全に実感しきっていない自分には、ただ単に断言できないというだけの事なのである。
……というわけで、何か不審があっても見落とさないようにと、しっかり見ていたわけなのだけど。
「……ん?デーチモか?」
…流石に異変の方がひょこりと壁から顔を出すとは思わなかった。
突然現れた自分そっくりの顔を持つ相手……ボンゴレの初代ボスの姿に唖然としていると、彼はそのままひょいと体全部を壁からこちらへ引き抜いてきた。右手にはティーカップがあったから、優雅にお茶の時間でも楽しんでいたのかもしれない。夜だけど。
自分だけでなく他三名も驚いて固まっている中、初代はぐるりと自分たちを見渡して、それからはてと首を傾けた。
「こんな時間に一体どうしたんだ?」
「えっと…あの、ここが並盛中生徒を吸い込んだりする壁だって聞いて来たんですけど」
「あぁ、そういえば俺が暇なときとかに暇そうな奴を引きずりこんだりしたが」
「七番目の七不思議はアンタの仕業!?」
「何だ、こんな事が七不思議になっていたのか?暇をつぶそうと話し相手を連れ込んでいただけなんだがな……」
「それって合意ですか?」
「いいや強制だが」
「……うわぁ」
さらりと告げられる言葉に、綱吉は思わず頬を引きつらせる。
こんな理不尽な事で良いんだろうか……初代とか言うから偉いのは分かっているけれど……強制はマズイ気がする。
綱吉はそう思ったけれど。
多分、何を言っても無駄だろうと思ったので、何も言わない事にした。
……かくして、綱吉は七不思議をコンプリートしたのだった。
どうしても初代さんを出したかったみたいです。
PR
この記事にコメントする