式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
夏と言えば海とかプールとか。良いですよねぇ。
夏と言えばプールである。海も良いが、今回はプールと言う事にしておく。
しかし、高校にもなると中学校まではあった水泳の授業が、夏の風物詩の一つが、体育の中から見事に消えてしまうのだ。
それは非常に困る事態である
というわけで。
「市営プールに来たわけだ。分かったか?」
「貴様が良く分からぬ理論を展開するほど海に行きたかったが、近くに無いので仕方なくプールにしたということは分かったぞ。あと、我を説得線ために適当に言葉を並べてしまったせいで、どうせ自分で自分の言った事を欠片一つも理解しておらぬのであろう事もな。少しくらい頭を使うが良い、この愚民が」
「なっ……テメェっ!」
「間違っておるのか?」
「……間違ってねぇよ」
冷たく突き刺さるような視線に視線を逸らすと、嘲るような笑い声が耳に届いた。……とにかく悔しい状況だが、ここで何かを言うと倍以上にして返されるのであえて何も言わない事にする。というか聞こえなかった事にしよう。
心の中でそんな事を決めている間にも周りの様子は流れ行く。
正確に言うと、状況ではなく会話だが。
「っていうか、こいつ外に出す為に何で俺らまで来なきゃなんねぇんだか」
「一応名目上生徒会の活動……というか、親睦会だから仕方ないよ。で、浅井君は?」
「己の正義を成すとかいって断られた」
「わけが分からぬな」
「約束が他にあったのかもね」
「で、さ、何で俺様たちまでいるのさ」
「え?お目付役だろ?んで俺と幸村は普通に遊び人、と」
「遊び人とは失礼な。某は水泳の腕を上げるべく来たのだぞ!」
……というわけで、ここにいるのは計七人だった。
思ったよりも人数が増えてしまったが、そんな事を気にする気は元親にはこれっぽっちもない。むしろ人が増えた事に感謝するくらいである。
ちなみに佐助たちがここに来たのは完全な偶然だったりする。
「なぁ、元就、久しぶりに水泳勝負しねぇ?」
プールに入る前の準備にと、体操およびストレッチをしながら問いかけると、不愉快そうな視線を向けられた。
「そのような誘いに乗るわけがなかろう。いくら我と言えども、貴様と水泳で競うなどと言う愚かな真似などせぬわ」
「へぇ。生徒会長さんでもアニキに勝てないもんがあるんだ?」
元就の言葉を零さず受け止めたのであろう慶次が、茶化すように言う。
ある意味勇者のようなその行動にほんの少し感服する。……まぁ、その様を不愉快を通り越して不快そうな視線で見る生徒会長の視線に、次の瞬間彼は凍りついてしまうのだが……仕方ないだろうこれは。
そのままの表情で顔を別の方向に向け、氷の視線をもつ高校三年生はぽつりと呟いた。
「……こやつに勝てるものなど、海洋生物の他にはおらぬ」
「……そこまで言うのかい?貴方が?」
「海にこやつを放してみるが良い。己が目を疑うことにはなろうな」
疑わしげな半兵衛にそう言って、ため息交じりに彼は続ける。
「我はあの光景を見た瞬間、こやつを人間であると認識するのを止めようかと思うたわ。付け加えると、今でも少々疑っておる」
「じゃあ、幸村と競争させてみねぇ?」
「お、そいつは良いねぇ!」
政宗による楽しげな提案に、顔が自然と緩む。
が。
「……みなさーん、お取り込み中悪いんだけどね。旦那、泳げないよ」
「……へ?」
そんな中、佐助がとんでもない事を口にした。
あまりの衝撃に思わず全員でぽかんと口を開けていると、苦笑を浮かべつつも佐助は肩を竦め、ちらりと競争の話になって一回も口を開いていない人物の方に視線をやった。
一斉に、皆の視線がそちらを向く。
そして目にしたのは、居心地が悪そうな幸村の姿だった。
「旦那ねぇ、それはまずいだろうって克服に来たんだよ、今日は」
「……そ…そうなんだ」
「意外過ぎんな……オイ」
「案外、人って見かけによらないんだね」
「見かけと言うよりもこれは内面の方であろう」
「……まぁ、そう言う事なら練習手伝ってやるよ」
かくして。
いつも家の中にこもっている元就を外に連れ出そう計画は。
いつの間にか、幸村の水泳技能向上の会に変わっていた。
ゆっきーは、勢いよく飛びこんで、勢いよすぎて事故っちゃう感じだと思って。それがトラウマで泳げません、とかだったら良い気がする。
PR
この記事にコメントする