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久々弟妹同盟です。夏なので、怖い話についてなのですが…。
「怖い話?」
「うん、そうなんだよね」
何だそれはと言わんばかりの視線を向けられながらも、綱吉はこくりと頷いた。
「というわけで、何かない?」
「ねぇわけじゃねぇけどなぁ……」
「ボス、暇なの?」
「暇って言うか……父さんの思い付きって言うか……」
「あぁ、そりゃ……」
自分のその言葉だけでおおよそを理解してくれたのか、スクアーロがかなり同情心溢れる表情を浮かべた。彼とてボンゴレの一員で、その関係でそこそこ父の思いつきの面倒さを理解しているらしい。
その事に申し訳なさを覚えながら、綱吉は目の前にいる三名の顔をぐるりと見渡した。
「ある人から教えてくれたら嬉しいかな」
「じゃ、俺からいくぜぇ」
「あ、うん。お願い、スクアーロ」
「マーモン怒らせる事」
……。
「えっと……ちょっと趣旨と違うんだけど……」
「……?怖い話じゃねぇのかぁ?」
「うん、怖い話なんだけどさ……」
父が訊いて来いと言ったのはそう言う怖い話では無くて、怪談とかそういう系の怖い話なのだけれど。まぁ、最初にそう言う事を言わなかった自分が悪いと言ってしまえば、それで終わりなのだが。
どうやって話の流れというか……そう、テーマを修正しようかと考え込んでいる間に、雲雀が不思議そうな顔で鮫に尋ねかけた。
「ザンザスが怒ったとか、そういうのじゃなくて?」
「アイツはしょっちゅう怒ってるからそれ程でもねぇんだよ。本気でキレたらま、危ねぇけどなぁ。けどよ、普段怒らねぇ奴が怒った時の恐ろしさってのは案外、実際に目にしねぇと分からねぇもんなんだぜぇ?」
「あ……私もそれと似た怖い話知ってる……」
しかし修正する間もなく話は流れに流れて行く。
ひょこ、と手を上げたクロームが続けて言った。
「千種……怒ると怖いの……骸様でも冷や汗かくくらい」
「柿本千種?彼って怒る事あるの?」
「犬と骸様が……ちょっと常識に外れた事をしたときとか」
「や、骸は常識外の事ばっかやってねぇ?」
というか、あんたたちの存在とか戦闘力とかが既に常識の外ですよ。
自分の事は棚に上げ、ついでに話の流れを戻す事を諦めた綱吉は心の中でそんな事を思い、これまた心の中で息を吐いた。流れは変わってしまったけれど、一応言い出したのは自分だ。最後までちゃんと三人の話を聞いて帰ろう。
「そうなんだけど……千種に、我慢できる限界があるらしくて」
「まぁ、そりゃ普通は限界くらいあるよなぁ」
「それを超えた行動をしたら……ヨーヨーが、いつもの十倍……うぅん、二十倍速くらいで飛んでくるの」
「二十倍速って、骸は避けれるの?」
「いつも顔面直撃だけど……」
首を傾げる雲雀に、さらりと答えるクローム。
……痛そうな話だった。
顔を引きつらせる綱吉をよそに、三人の話は続く。
「雲の人は……怖い話、無いの?」
「別に怖いって思う話は無いけれど……あ、いや、一つあったかな」
「雲雀さんにも怖い話ってあるの!?」
有り得ない言葉に思わず叫ぶと、少しだけ憮然とした表情でしかしはっきりと、雲雀は頷いた。
怖いと思った事があったのだと、素直に認められたと言う事実にさらに驚いた綱吉だったが、次の瞬間、すごいスピードで納得する事になった。
「ヒバードがね……猫に食べられかけた事があって」
言いにくそうに、そう言った雲の守護者の表情に僅かな陰り。
それを見つけながら、納得顔をしているスクアーロとクロームを見て、自分も似たような顔をしているのだろうと思う。確かにそれはちょっと怖い。先ほどの怒る怒られるの怖い話よりも怖いかもしれなかった。
確かに、ヒバードのあのサイズは猫にとっては捕食しやすい大きさかもしれない。多分、雲雀が目を離した隙に、小さな鳥は食われかかったのだろう。
そんな危機が回避されたらしい事に少し安堵しながら、綱吉は席を立った。
「えっと、ちょっと趣旨違うけど怖い話、ありがと。父さんに報告してくるね」
「俺から言うのもおかしいかもしれねぇけどなぁ……お前も頑張れよ」
スクアーロの心の底からであろう励ましの言葉に、綱吉は苦笑を浮かべた。
「まぁ、そこそこにやってくよ」
ヒバードは一回や二回じゃなく猫や犬に食べられかけてると思うのです。
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