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ボスを世話する鮫が書きたかっただけの話です。マモ視点。
ヴァリアーと言えばボンゴレ屈指の先頭集団である。子供も大人も等しく『黙らせ』る、冷酷非道の暗殺部隊。構成員のほとんどは人間として大切な何かをぽっかりと、喪失してしまっているような者達。
この名を聞けば誰もが恐怖と侮蔑に震えるような、闇の代名詞。
……しかし、誰が想像するだろう。
「ボスさん、いいから野菜も食え」
「いらねぇ」
「却下。とりあえず皿にぶっこんとくからなぁ……って跳ね馬ぁ!?お前何をどうしたらンな格好になるんだぁ゛!?」
「えへへ……さっき滑ってこけた」
「は。だらしのねぇ」
「だなぁ……で、ボスさんよぉ、このフォーク何だぁ?」
「……っち」
「舌打ちしてんじゃねぇぞぉ!人に押し付けねぇで、そんくらいの野菜食え!」
そんな組織のトップと次席+αが、こんな会話をしているなんて。
呆れた物だとため息を吐きながら、マーモンはベルフェゴールの頭の上にちょこんと座ったまま、適当にその辺りから取ってきた飲み物をちょびりと口に流し込んだ。
「ん?マーモンため息吐いたー?」
「吐きたくもなるよ……あれ見てたらね」
「あー、確かに。良い大人が何やってんだって話だし」
はぐ、とシュークリームを食べながらベルフェゴールは頭を一度だけ縦に振った。
肯定の証であるそれに、危うく頭の上から落とされてしまう前に宙に浮いて、やれやれと肩をすくめる。この王子様は、少しくらい他人に対する配慮と言う物を持つべきだ。例えばそう、頭に人が乗っているのだから、その人が落ちてしまうような行動を取らない、とかいった配慮を。
もっとも言ったところで意味が無いのは理解しているので文句は心内に押し込め、ベルフェゴールが見ている方向に、マーモンも改めて視線をやった。
そこにはヴァリアーのトップと次席+α、つまりザンザスとスクアーロとディーノがいる。見る者が見れば随分と傍に寄り難い光景ではあるが、さて、その人々に彼らが交わしている会話を聞かせたらなんと反応するだろうか。
野菜を取り分けている次席と、その野菜を次席の皿に押し付けようとしているボスに、そんな二人の傍らでニコニコと笑いながら突っ立っているワインまみれの跳ね馬を眺めながら、多分、会話の正体を知った人々は別の意味で近づこうとはしないだろうと思った。
イメージとのギャップに引くとか、そういう話では無い。
あぁいうのは、傍から見ているのが一番楽しいのだ。
「……そういえばベル、そのシュークリームどこにあったの」
「向こう側。ケーキとかも色々、取り切れないほどあったからまた行くつもりなんだけど、何、マーモンも行くわけ?」
「小さいのがあるならね」
「ししっ。じゃあ俺が連れてってやるよ。王子はケチじゃないからもちろん無料だからさ」
「そりゃどうも」
じゃあ、昨日クッキーの一枚二枚でどこかの誰かと争っていたあの人物はきっと、ベルフェゴールの死んだはずの双子の兄とかなんだろう、きっと。何せベルフェゴール自身はケチじゃ無いらしいから。
心の中でそんな事を思いながらも素直に頷いて、どこか機嫌そうな王子様の後ろをふわふわと付いていく。
その途中で様々なファミリーや、その中の組織などのトップと次席を目にしたけれど、どこも殆ど自分たちが属している場所のトップと次席みたいな事にはなっていなかった。……まぁ、こちらの方が正しいと言えば正しい在り方だとは思うから、別に問題は無いし良いのだけれども。
……良いのだけれども、何とも言えない感じになるのは仕方のない話、なのだろうか。
「あ、そうだ」
「……ん?何?どうかしたの?」
そんな事を思っていると、不意にベルフェゴールが手を打って立ち止まり、道案内を任せ切っていたマーモンも自然と進みを止める事になった。
突然どうしたのだろうと訝しく思いながら声をかけると、王子様はくるんとこちらを向いて笑みを浮かべた。彼が笑みを浮かべているのはいつもの事、だけれども、今回はその中に少々、悪戯の色が混じっていて。
ということは、次に彼が言う事はほとんど決まっている。
「なー、マーモン」
「何かな」
「甘い物をたくさん皿に積み上げてさー、ボスたちの所に持ってったら面白そうじゃね?」
「命がいくらあっても足りないね、そんな事をするなんてさ」
予測通りの言葉に肩をすくめながら応えると、で?と彼は続けた。
「どうするわけ?のる?のらない?」
答えなんて分かり切っているだろうに催促してくる彼に呆れながら、言った。
「のるにきまってるだろ」
これが、とある会食会場での一つの話。
そして何故か馬の世話もする鮫さん。これからも頑張ってね…!
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