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今が夏休み中+「6時起床」=ラジオ体操
…なんていう連想から。途美の過去編みたいな感じになりました。ハプティーズは小4くらいです。
18.6時起床で
その機械音は、どうやら人一人起こすことすらできなかったらしい。
今も喧しく鳴り響いている音と、震えているデジタル時計が幾つかと……それらを枕元に置きながら、未だ夢の世界の住人である双子の片割れを見やって、ハレルヤは息を吐いた。何となく想像はついていたものの、実際に目にすると何とも言えないのだが。
……明日の朝はちゃんと起きろと、自分に言ったのはどこの誰だ。
額に青筋を浮かべながらも、とりあえず片割れが抱き枕の様にしてしまっていたタオルケットをしっかりと掴む。
「いい加減起きろアレルヤァァッ!」
機械音に負けないほどの叫び声を上げて、ハレルヤは、勢いよくそれを奪い取った。
勢いよくやり過ぎたのかもしれない。思ったよりも強い力でタオルケットを抱きしめていたらしいアレルヤは、ハレルヤが引っ張ったそれに引っ張られるようにベッドの上を移動し、そして。
ごん、と、聞くだけで顔をしかめてしまいそうなほどの音が部屋に響き渡った。
結果。
「……あれ、何でハレルヤがここにいるの?」
アレルヤが目を覚ました。
様子からして、どうやら頭を床に思いきり打ち付けた割には痛みは感じていないらしい。今は寝起きだから痛覚あたりが鈍くなっているのかもしれないが、何にしたって起きた事に変わりは無い。
二度寝などさせるものかと、若干うとうととしている片割れの頬を軽くつねる。
「いひゃひゃひゃひゃ!いひゃい!いひゃいよひゃへるひゃ!」
「何言ってるか全然分からねぇぞ」
まぁ、言っている事が分からなくても、言わんとしている事は分かるが。どうせ、痛い痛いと訴えかけているのだろう。
それでもあえて分かっていないふりをして、もう少しだけぐにゃりと片割れの頬を引っ張り回して……ぱ、と手を離した。そろそろこちらの気も済んできたし、まだ煩く鳴り続けている一、二個の時計の電子音もどうにかしたい。
そんな考えからハレルヤの手から解放されたアレルヤは、赤くはれた頬を両手でさすりながらぼそりと呟いた。
「……暴力ばっかりふるってたら、嫌われるんだからね」
「お生憎。そんなもん気にしねぇよ」
それに例外があるとすれば目の前にいる片割れくらいのものだろうが、彼が自分を嫌いになるなんて事は絶対にない。それは今まで一緒に生きてきた十年程度の時間が証明している事実だった。
あと、強いて言うなら一つ下の双子の餓鬼どもも、だろうか。彼女たちには嫌われたって自分は気にしないのだが……妙に片割れと仲の良い彼女たちである、敵視されたら面倒な事になるのは間違いないだろう。
そんな事になってしまうと厄介だし、阻止しなければならない。……既に彼女たちの片方には敵視されてしまっている気がするが、あれは元から馬が合わなかったのだから仕方がない事だ。
と、そこまで思ってハレルヤは首を振った。そんな事は、今、全然関係ないし、どうだって良い。
しっかりと目が覚めた様子のアレルヤの腕をとって引っ張り上げると、片割れは首を傾げた。
「あれ、そういえば何で君がこんな時間に起きて……」
「……やっぱりそういうオチかお前は」
今更の言葉に顔を引きつらせながら、言う。
「今日からラジオ体操やりに行くんだろうが。忘れてんじゃねぇよ」
「え……あ!そっか!もう夏休みだしね!」
「思い出したならとっとと行くぞ。チビガキどもも行くっつってたから、遅れて言ったら何言われるか分かったもんじゃねぇ」
「うん分かった!」
夢の世界から完全に帰って来たアレルヤの行動は早かった。
五分と経たずに着替え、ベッドの整頓、目覚まし時計の機能停止などなど、起きて直ぐにやるべき事柄を済ませてしまって、はっと気付いた時には目の前にあったのはしっかり者の片割れの姿。
……その切り替えの早さは称賛に値するかもしれない。
こちらが心の中でこっそりと舌を巻いている間に、何時の間にやら部屋の出入り口に移動していた片割れは、とても不思議そうな表情を浮かべて、手を差し出した。
「どうしたの?早く行こうよ」
「……」
それはこちらの台詞だったはずなのだが。
何とも言えない気分を味わいながら、それでも別に良いか、だなんて思ってしまう辺り、本当に自分は彼に甘い。
苦笑を浮かべて、ハレルヤは、その手を握り返した。
この後、結局ラジオ体操に遅れてソマさんに怒られたりするんじゃないでしょうか。
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