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どうやっても私は罪歌さんを出したいらしいです。
杏里と罪歌のお話です。
04:歯ブラシ
「いらないわ」
それを差し出した時の罪歌の返答はとんでもなく速かった。
予想通りの反応とはいえ、こうもハッキリと拒絶されてしまうと何とも言えない。けれども、だからといって引き下がるわけにもいかない。
苦笑を浮かべながら、杏里は口を開いた。
「でも、人間の姿をしている間くらいは必要だと思うよ……?それに、」
「それに?」
「そう言う事……ちゃんとしてないと嫌われるんじゃないかな」
誰に、とは言わなかったけれども、それだけでも十分に自分が言おうとした事は彼女に伝わったらしい。
目の色を変えた罪歌は、ひったくるように杏里が持っていた歯ブラシを奪い取った。
そうして恨みがましい視線を向けてくる同居人に苦笑を深くしながら、床に座っていた彼女の隣に腰を下ろす。
「赤色が良いかと思って探してたんだけれど……見つからなかったから、桃色にしたんだけれど。嫌だったらまた、別の買って来るよ?」
「これで良いわよ。そんな事なんて気にしないから」
「あ……それから、あとで買い物行かないといけないんだけど」
「買い物?」
何を買いに行くのかと訝しげな視線を送ってくる罪歌に、多大な言いにくさを感じながらも、それでも杏里は答える事にした。何を買うかなんてどうせ向こうで分かる事だし、ならば今教えてしまったとしても特に問題は無い……と思う。
ちょっとだけ視線を逸らして、杏里は言った。
「罪歌の……下着とかを買いに。私のじゃ、ちょっとサイズが合わないのがあるし……」
「……」
その言葉に。
始めは沈黙していた罪歌は、数秒後、勢いよく立ちあがってベッドにダイブした。
「寝る!」
「それって不貞寝……」
「違うわ!眠いから寝るの!」
「買い物は……?」
「行かない!」
子供の様に拗ねてしまった彼女の言葉たちに、杏里は思わず頬笑みをこぼした。
罪歌さん(人状態)はペタンコ希望です。理由は何となくなんですけど。
というわけで、下着=ブラ、みたいな。それが分かったので罪歌さんは拗ねました。
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