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今回はワゴン組。そして渡草不在…ごめん。



03:本
 
 
 
 目の前の広がるその光景に対して、ため息を吐いたって誰も文句は言わないだろう。
 だから実際に息を吐いて、門田は山積みになった本の森に囲まれて幸せそうな顔をしている遊馬崎と狩沢を見やった。
「お前ら……そんなに買って、本当にどうするつもりだ」
 呆れを込めて呟いた言葉に、自他共に認めるオタクコンビである二人はきょとんとした表情を浮かべ、互いに顔を見合わせた。
「もちろん全部読むんだよね?」
「それ以外の使用用途はまぁ、色々と、っすよねぇ」
「読むのはともかく、それ以外の使用は止めろ。あと……俺が言いたいのはそっちじゃなくてだな、置き場の話だ」
 彼ら彼女らがどれほど本を買ってきたのか、それを自分が知る事は出来ない。しかし、共に行動をし始めてから今に至るまでの二人の様子を見る限り、とにかくとんでもない量の蔵書があるだろうことは想像できる。
 昔からこのペースで本を買っていたと考えると……現在、二人の家の中はとんでもない事になっている気がする。
 部屋一つ分くらいは潰れているだろうかとか考えていると、明るい笑みを浮かべながら狩沢がぱたぱたと手を振った。
「そんな心配しなくても大丈夫だよー。しっかり自分の部屋から撤退する準備くらいは整ってるんだから。新しい本棚を買うお金も貯金してあるし」
「いざとなったらもう一部屋くらい借りても良いくらいっすからねぇ……あぁ、本屋敷って素敵な響きっす……周りには本棚しか無いんっすよ……」
「素敵だね……手を伸ばせば萌えの供給源がそこにあるなんてね……楽園だね……」
「……お前ら」
 ついには恍惚の表情を浮かべだした二人を前に、思わず頭を押さえる。
 一つの物に嵌り込むと、人と言うのはこんな風になってしまう物なのだろうか。そうではないと思いたいが、けれども、そう思うにはどうにも『こんな風』に近い症状になってしまった人間の心当たりがあり過ぎた。例えば、ここまで酷く無いと思うが、人に対する愛情にずっぽりと嵌ってしまった臨也だとか。
 ……今ここにはいない渡草も、二人と似た様な状況だったらどうしよう。
 門田の悩み事が増えた瞬間だった。






渡草も専用ルームとか作ってそう。聖辺ルカ関連グッズの。
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