シークレット・メモリー 新企画

思いつきの新企画のお話です。しかしこれも久々です。

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「……何だこれ」

「あぁ、Gか。丁度良かった。運ぶの手伝ってくれないか」

「いや……それは良いけどな、これが何か先に答えろ」

「手紙だが？」

　それがどうしたのかと言わんばかりに首を傾げるボンゴレ一世を見やり、その嵐の守護者は眉間を揉み解した。

　確かに彼が両手いっぱいに抱えているものは手紙だ。それ以外の何物でもない。だから、自分が訊きたいのはそんな分かり切った事ではなくて、それらが一体どのような物なのかと言う事だったのだが。

　それくらい超直感を使ってでも良いから気付け、と心の中で不服を零し落とすと、幼馴染は不満そうな表情を浮かべた。

「そんな事で超直感を使ったら使ったで怒るくせに」

「……っ……ここで超直感使うなよ！」

「超直感じゃないぞ。幼馴染としての勘だ」

「どっちにしたって勘じゃねぇか！同じだろ！」

「微妙に違うんだ、微妙に」

「……じゃあ説明しろ」

　顔の真面目さから判断して、どうやら何かが違うということは間違いではないらしい。ならば、と腕を組んで続きを促すと、彼は頷いて口を開いた。

「簡単に例えると、超直感はバターで幼馴染としての勘はマーガリンだ」

「……簡単か？」

　微妙な違いと言うのは何となく分かるが……というかそれだけで『説明』終了なのか。

　満足げなジョットにじとりと視線をやりながら、Gは手紙の山の三分の一ほどを上からごっそり取り去った。

「おい、G。あと六分の一くらい忘れてるぞ」

「三分の二くらい自分で持て。……っていうか、本当にこの手紙の山は何だ」

　最初に疑問に思った事にはたと思い至り尋ねてみると、彼は酷く深刻そうに口を開いた。

「ボンゴレって堅苦しいと思わないか」

「……は？」

　突然の言葉に唖然とするGをしり目に、堅苦しいと表現した組織の初代トップに君臨している男は嘆かわしげに息を吐いた。

「自警団時代は随分と気楽なのびのびした集団だったと思うんだが。本当に……何でこんな事になってしまったんだろうな……」

「お前が気に入ったヤツを片っ端から引っこ抜いて来たからだろ」

　そのせいで組織の規模が大きくなって、そのせいでこうなったのではなかったか。

　自業自得だと睨みつけると、その視線を軽く受け流して彼は続けた。

「だから、俺は少しでもボンゴレを気楽な組織にしようと、いくつか年間行事以外にイベントを用意する事にしたんだ」

「それとこれに関係があるって？」

「あぁ。実はな、質問コーナーを作る事にしたんだ」

　その言葉に、今日、本部のエントランスに大々的に設置されていた提示版はそのためのものかと思い返す。そういえば、提示版の上にそれっぽい文字も書いてあった気がするから、恐らくこの予測は間違いないだろう。

　では質問とはどのような物なのか。抱えている手紙の束を器用に片手で支え持って、Gは適当に選んだ一通を器用に片手で開いて中身を見た。

　……そして固まる。

「……おい、ジョット」

「何だ？」

「これ、止めた方が良い」

「何でだ？」

「多分な、この質問コーナーってやつを実行したら血の雨が降る」

「最近雨が少なかったし、大地が潤って良いんじゃないか？」

「良いわけねぇだろ！」

　叫び声を上げて、ずい、と持っていた手紙を彼に近づける。

　そこに書かれているのは、どこぞの取扱要注意守護者どもに関するあれこれの質問。

　こんな物を取り扱ってしまおうものなら、絶対にボンゴレという組織が壊滅する。壊滅しなかったとしても、とんでもない規模の大問題が引き起こる事は間違いない。

　冗談ではない。一体どうして、こんな馬鹿げた思いつきのせいでそんな事態を引き起こさなければならないのだ。

「……もしやるんなら、こういう危なげな物以外を選んで答えろ」

「それではつまらないぞ？」

「安全第一で考えろ！」

「安心しろ、死人は出さないから」

「そういう問題じゃねぇ！」

　にこりと笑う彼には、しかし、こちらの絶叫など対して効いているわけでもないようで。

　守護者やめてもいいだろうか、なんて、わりと本気でGは思った。

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やめていいと思うよ。守護者。
死人が出なくても、毎回毎回重傷者が出ることが間違いないコーナーですよね。