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お父さんだって疲れる事くらいあるんです、と言うお話。
「休んで」
「やすんで」
突然告げられた子供たちの言葉に、骸はぱちくりと瞬きした。
それから、パソコンのキーボードから手を離して、首を傾げる。
「……どうかしました?」
凪が言って来るならまだ分からなくは無いのだけれども、そこに雲雀が加わると不可解さが生まれる。これは恐らく心配からくる言葉であろうし、ならば嬉しさを感じるのは当然なのだが、どうしても……日頃の態度を思い返して見ると、雲雀が何の脈絡も無くこんな事を口にするという事態が信じられない。
だから問い返すと、凪が心配そうな眼をこちらに向け、雲雀はピンと立てた人差し指で骸の顔を指さした。
「顔、見た?」
「とっても……あおいの」
「そうですかねぇ……」
どうやら顔色の悪さが目に付いたらしい。
けれども、そんな自覚などこちらには全く無い。それに……朝に洗面所の鏡で対面した自分の顔は、そんなに酷い物では無かったと思うのだが。
あれから自分は顔色がそこまで酷くなるほど、とんでもなく疲れる事をしていただろうか。そんな事を思っていると、不意に、ずい、と近づく顔があった。
「……何ですか、恭弥」
「やっぱり顔色悪いね。休んで寝て」
膝の上によじ登っていた雲雀はそう言い放つや否やくるりと体を百八十度回転させ、カタカタカチカチとキーボードを打ちマウスを操作し始めた。そうして、はっと骸が気付いた時には既にパソコンはシャットダウン開始を告げる画面に変わっていて。
思わず、呻く。
「……やってくれましたね」
「このくらいしないと止めないでしょ」
「それはそうですけれど……」
「なら、何も言わずに諦めて」
「おとうさん、おやすみしないとダメだって、きょうにいさんもいってるの」
「……」
本当は、もうちょっと仕事の方を進めたかったのだけれども……子供たちがそろいもそろって心配してくれているのならば仕方無い。
「しょうがないですねぇ……昼寝としゃれこみましょうか」
膝に乗っていた雲雀とズボンを掴んでいた凪を抱き上げて、苦笑を浮かべながら骸は寝室へと向かった。
なんだかんだで仲良しな六道さんちです。
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