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運命と伝説とウォーリアさんのお話です。
63:CD
「…この円盤は何だ」
「CDだが」
「…じゃなくて、それをどうしてオレに渡す」
良く分からないRPGの世界から戻って来て、唐突に一枚のCDを差し出されたデスティニーは、差し出してきた相手……レジェンドを探るように見た。
どうやら、今まで自分は眠っていたと言う事になっているのは、ザクウォーリアが横で色々言っているから分かった。けれど、起きて突然それを差し出される理由が全く分からなかったのである。
まぁ、差し出されているのだから受け取っておこうかと、それに手を伸ばす。
「良く分からないが…とりあえず貰えば良いんだな?」
「あぁ。そして是非とも今すぐ中身を見てくれ」
「……冗談抜きで訊く。中には何のデータが入ってんだ?」
「お前の寝顔」
「…………………………は?」
さらりと言われた言葉に、一瞬思考が停止する。
それから頭を一回振って、改めてレジェンドが言ってくれてしまった言葉を再生。
『お前の寝顔』
……聞き間違いじゃないだろうか。
お前の、は流石に間違えようがないから『寝顔』を聞き間違えたのだ、きっと。だとしたら本当は何だったのだろう。寝巻?だとしたらCDを渡す意味がないような気がする。寝相……だとしたら寝顔とほとんど一緒だからきっと違うと信じたい。
あぁ、別に最初が『寝』じゃなくても良いのだ。『根』かもしれないし、あるいは『ね』でもなくて『ぬ』だったのかもしれないし。
そうだ、そうに違いないと何度も自分に言い聞かせるように思っていると、いつの間にか直ぐ隣にいたレジェンドが、耳元でポツリと、しかしハッキリと言った。
「お前の寝顔だ。あと寝相も当然だが入ってるからな」
「……」
「あ、デスティニーが黙った」
「何だ、このくらいで黙るのか」
「やっぱり、知らない内に寝顔とか寝相とか撮られてたら心って折れるんじゃないかな」
「恥ずかしさのあまりか?…そうか、それもそうだな。だが……オレとしては、ここでなおもツッコミを入れる事が出来るくらいに進化して欲しいんだが」
好き勝手言っている二人の声が自分の中で素通りしていくのを感じながら。
かつてない程に呆然としているのが、自分で分かる。どれくらい寝ていたか分からないが、どうせレジェンドの事だから延々とカメラを回し続けていたに違いない。どれだけ暇人なのだと言いたくもなるが、彼ならばそのくらいは平気でやるだろうという確信がある。
そして一番の問題は、このCDが絶対に一枚ではない事だ。
恐らくレジェンドもザクウォーリアも、一枚ずつ持っている。それと、もしかしたら黒い方のガイアにまで配ってくれたかもしれない。その繋がりでアビスやカオスにまで渡していたらそろそろヤバい。いや、その前段階が一番ヤバいけど。まぁ、最終的にストライクフリーダムやインフィニットくらいで収まるなら良いけれど、悪童の方にいったら軽く死ねると思う。
…どうしたら良いのだろうか。
「あ、そうそう」
完全に混乱しているデスティニーに、いつものような口調でレジェンドは言った。
「このCDは全部で三枚だから安心しろ」
「…!」
ということは持っているのは自分、レジェンド、ザクウォーリア…
「お前とオレと、ガイア嬢だ」
「は…」
…じゃなくて…自分、レジェンド……ガイア………え?
その言葉にどこか遠い場所に去った意識をどうにか寄り戻してから数秒経過後。
「お前なんて事してんだぁぁぁッ!?」
叫んで、デスティニーは友人の肩を掴んで前後にとにかく勢い良くゆすった。
「おまっ…お前…っ!絶対にオレが一番困る方向に事態もってってるよな!?何だ!?オレがお前に何かしたのか!?」
「いや、そのリアクションが楽しいからやってるんだが」
「一番悪い理由だねー…ていうかデスティニー大丈夫?顔が凄く赤いけど」
「大丈夫なわけねーだろ!」
「恥ずかしがらなくても、別に変な事を口走ってなかったから問題ないと思うが」
「問題ないとかそういう問題じゃないだろうが!?」
「初心だよねー」
「あぁ!?」
「まぁ、ガイア嬢なら大丈夫だろう。安心しろ」
「出来るかーッ!」
「照れ屋だな」
「だねぇ」
…渾身の叫びは、しかし彼らには全く効かないようだった。
このサイトは全力で運命と大地嬢の組み合わせを押しているっぽいです。
いや、だってあいつら良いじゃないですか。
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