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弟妹同盟なのに、雲も霧も喋りません。ツナさんとスクさんだけです、喋るの。



055:手を伸ばせば、すぐ其処に
 
 
 
 その光景を目にして、綱吉はぱちくりと瞬きした。
 そしてそのまま、書類を抱えたままその傍を素通りしようとした。
「ちょっと待て」
 が、静止を求める声が聞こえてきたので立ち止まる。……まぁ、その声を無視してそのまま行ってしまっても直ぐに仕返しされる事もないだろうし、後でもそんなに酷い目には遭わされないだろうと思うのだけど、ついつい思わず条件反射で。
 で、だ。
 立ち止まってしまった以上は知らんぷりで去ることも出来ない。
 苦笑を浮かべながらくるりと振り返り、身動きのできない彼に声をかける。
「俺がいてもあまり出来ることないでしょ?」
「そりゃそうだけどなぁ……」
「で、それでも呼び止められたわけだけど。俺はどうしたらいい?」
「…………」
 黙って顎で指された場所には、一人掛けの椅子があった。どうやら、そこに座ってしばらく付き合えと言うことらしい。
 そのくらいはどうということも無いので素直に了承する事にして、書類を持ったまま示された席に座る。ちなみにこの書類は緊急の物では無いので、別に今すぐどうにかする必要性はないので問題無しだ。
「まずは長期任務お疲れ様、って言っておこうかな。大変だったでしょ」
「その長期任務で大変な目にあって疲れてるだろう奴を放ってどっかに行こうとした奴にだけは言われたくねぇ台詞だな……うぉ゛い」
「それはそれ、これはこれ。……帰ってきて直ぐ?」
「まぁなぁ……」
 言って息を吐いたスクアーロは、視線を右と左の交互に巡らせて、また息を吐いた。
「何でこいつらこんなに纏わり付くんだかな……」
「しばらく会えなくて寂しかったんじゃないの?」
「……こいつらに限ってそりゃねぇだろ」
「分からないよ?」
 呆れる様な表情を浮かべる彼の両手をそれぞれ一本ずつ占領して眠る雲と霧の守護者を前に、綱吉はくすりと笑みを浮かべた。






つまり鮫さんは両腕を抱きしめられちゃってるわけです。動けないわけだ。
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